国連事務総長 感染防止対策理由に取材活動抑圧しないよう訴え

国連事務総長 感染防止対策理由に取材活動抑圧しないよう訴え
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国連のグテーレス事務総長は今月3日の「世界報道自由デー」に合わせて声明を出し、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた措置のもと、各国での取材活動に影響が出ているとして、防止対策を理由に取材活動を抑圧しないよう訴えました。
国連は毎年5月3日を「世界報道自由デー」として各国政府に表現や報道の自由を尊重するよう喚起する活動を続けています。

グテーレス事務総長はこれに合わせてビデオで声明を出し、新型コロナウイルスを巡り健康に有害な情報や陰謀論など誤った情報が飛び交っているとしたうえで、「報道機関は解毒剤のような科学的な事実に基づくニュースや分析を提供している」と述べました。

一方で感染拡大で移動制限などの措置が取られるなか、取材活動に影響が出ているという認識を示し、「ウイルスとの闘いで一時的な移動制限は必要だが、これがジャーナリストの活動を締めつけるために悪用されることがあってはならない」として、防止対策を理由に取材活動を抑圧しないよう各国政府に訴えました。

新型コロナウイルスに関する報道を巡っては、国際的なジャーナリストの団体「国境なき記者団」が少なくとも38の国で政府当局による検閲や記者の拘束が確認され、人々の知る権利を侵害していると指摘しています。

世界各国の報道の自由度は

国際的なジャーナリストの団体「国境なき記者団」は、180の国と地域を対象に報道の自由度を分析したことしの報告書を先月、公表し、新型コロナウイルスの感染が最初に拡大した中国は177位、感染者と死亡者が最も多いアメリカは45位、日本は66位となっています。

このうち中国に関しては「危機を利用して、政府がメディアへの規制を強めている」と指摘しています。

日本については政府に批判的な記者への嫌がらせがSNS上でみられたり、編集方針が経済的利益に左右されたりしているとしています。

上位3位はノルウェー、フィンランド、デンマークで、G7=主要7か国ではドイツが11位、カナダが16位などとなっていて、日本は最も低い評価となっています。