宅配ニーズ増加の陰で 配達員の死亡事故も 新型コロナ

宅配ニーズ増加の陰で 配達員の死亡事故も 新型コロナ
新型コロナウイルスで外出の自粛が求められる中、飲食店の料理を客に届ける配達代行サービスのニーズが高まっています。こうした中、配達員の事故の情報は全国でおよそ30件寄せられ、都内では大学生の配達員が死亡する事故が起きていたことがわかりました。
配達代行サービス「ウーバーイーツ」の運営会社によりますと、宅配を契約している店舗は2月中旬は1万7000店舗でしたが、その後、感染の拡大で外出の自粛が求められる中、1か月で3000店舗増え、3月末で2万店舗になったということです。

こうした中、配達員で作る労働組合「ウーバーイーツユニオン」には配達員が事故に遭ったという報告が、1月から3月にかけて全国でおよそ30件、寄せられたということです。

そして先月、死亡事故も起きていたことがわかりました。

先月6日、杉並区上井草の交差点で、配達員の21歳の大学生が自転車で走っていたところ、左からきた軽乗用車と衝突し死亡しました。

警視庁によりますと、店に料理を受け取りに行く途中だったということです。

運営会社では配達員に交通安全の講習を行うとともに、感染対策としてマスクの着用や消毒の徹底などを呼びかけているということです。

運営会社は「配達員の安全は何よりも重要で、死亡事故が二度と起きないよう安全啓発に一層取り組みたい」としています。

事故現場には手向けられたたくさんの花

配達員の大学生が死亡した事故現場には、たくさんの花が手向けられていました。

事故直後の状況を近くに住む70代の男性が撮影していました。

男性によりますと、画面中央を通る道路の左脇では大学生が倒れていて、救急隊員が心臓マッサージなどの救命活動を行っていたということです。

男性は「家にいたらズシーンという音がして、外を見ると写真のような状況になっていました。パトカーもたくさん来て騒然となっていました」と当時の状況について話しました。

また近くに住む60代の男性は「若い方が亡くなったと聞いて、本当に気の毒としか言えないです」と話していました。

労働組合調査では全国で30件の事故報告も

ウーバーイーツの配達員をしている土屋俊明さん(43)は、新型コロナウイルスの感染の拡大にともなって自宅で過ごす人が増える中、配達サービスを初めて使ったという新規の利用者が増えていると感じるということです。

土屋さんによりますと配達員は1回配達するごとに、距離や時間帯によって違いはありますが、およそ500円ほどを得られるということです。

感染の広がりがみられる中、ウーバーイーツではマスクを着用し手洗いや消毒を行うよう、配達員に呼びかけているということで、土屋さんもマスクや手袋をしたうえで宅配を行っていました。

土屋さんは去年、雨の日に転倒しけがをしたことがあり、配達員で作る労働組合「ウーバーイーツユニオン」では、配達員の事故件数について調査を行いました。

その結果、配達員が事故に遭ったという報告がことし1月から3月にかけて、全国でおよそ30件寄せられたということです。

打撲やすり傷など軽いけがのものが多かったものの、なかには骨折など大けがにつながった事故もあったということです。

土屋さんは「事故のリスクは念頭に置いて働くべきだなと、私自身が事故に遭ったのでそう感じながら仕事をしています。ただ今の状況では、宅配サービスは外に出たくないという人のニーズに応えているという実感はあるし、重要性が増していると思うので、気を引き締めて提供していきたい」と話していました。