新型コロナ 民間の金融機関で無利子・無担保の融資始まる

新型コロナ 民間の金融機関で無利子・無担保の融資始まる
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新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、売り上げが減少した中小企業や個人事業主が、民間の金融機関から実質無利子・無担保で融資を受けられる制度が1日から始まりました。
銀行や信用金庫では早速、取引先に制度を紹介するなど対応を始めています。
この制度は、政府の資金繰り支援策の1つとして始まり、感染拡大の影響で売り上げが減少した中小企業や個人事業主が3年間、3000万円を上限に実質無利子で融資を受けられます。

1日から各地の民間銀行や信用金庫などの窓口で受け付けが始まり、神奈川県が拠点のかながわ信用金庫では早速、営業の担当者が、来店した企業の経営者に制度の仕組みを説明したり、取引先に電話をかけたりして、利用を促していました。

企業や個人事業主の資金繰りを支援する実質無利子・無担保の融資は日本政策金融公庫ですでに始まっています。

ただ、申し込みが殺到して手続きに時間がかかっているため、民間の金融機関で融資を始めることで、中小企業などにどれだけ速く資金が行き届くかが課題となります。

かながわ信用金庫の高瀬清孝横浜営業部長は「政府系金融機関に融資の申し込みが殺到している状況なので、民間も協力する形で、事業者を支援していきたい」と話していました。

信金理事「スピードアップして対応したい」

大阪の金融機関では朝から企業の経営者が相談に訪れています。

大阪 茨木市にある「北おおさか信用金庫」本店営業部には、新たに始まった制度に基づき、融資を受けようと朝から企業の経営者が訪れていました。

そして申請の方法や、いくらまで借りられるのかなどの説明を受けていました。

1日から始まった制度は、政府の緊急経済対策で実施が決まった資金繰り支援の一つです。

都道府県の「制度融資」を活用し、事業者が地域の銀行や信用金庫などから3年間、3000万円を上限に資金を無利子で借りられるものです。

相談に訪れた不動産会社の社長は「今後の売り上げの見通しが立たない中で、無利子というのは大変ありがたい」と話していました。

実質無利子・無担保の融資は、政府系の金融機関が行っていますが申し込みが殺到し、融資に時間がかかることが課題となっていました。

「北おおさか信用金庫」の河本良昭常務理事は「資金の相談はこれまでも受けていたが、さらにスピードアップして対応できる態勢を作っていきたい」と話していました。

カギは「市区町村での手続き」

民間の金融機関で始まった無利子・無担保の融資。

政府系金融機関だけでは、中小企業に速やかに資金が届かないために始まりました。

速やかな融資のカギになるのが「市区町村での手続き」です。

今回の融資は、売り上げが減少したことを、まず市区町村で認定してもらうところから手続きが始まるからです。

ただ、市区町村での手続きは、政府が3月から始めた資金繰り支援の制度でも必要で、窓口は中小企業の経営者や個人の事業主で、すでに混雑しています。

とりわけ事業者の数が多い千代田区や中央区では、認定の手続きは予約制になっています。

今すぐ予約しても、受け付けは2週間以上先の5月18日の週以降です。

港区は、中小企業などで窓口が混雑したため、郵送での申し込みに切り替える事態になっています。

そこに無利子・無担保の融資が加わることで、手続きがさらに滞るおそれがあるのです。

東京の立川市役所も、これまでに中小企業などから500件以上の認定の申し込みがありました。

3月上旬は1日に数件でしたが、今は連日20件から30件の対応に追われています。市役所では仮に担当部署に感染者が出ても手続きの業務を続けられるよう半月前からは職員を2つの班にわけて交代勤務にしています。

東京オリンピック・パラリンピックの担当部署などから応援ももらってしのいでいます。

今後、滞りなく手続きを、どう進めていくかが課題だといいます。

立川市役所産業観光課の奥野武司課長は「この1か月休業を余儀なくされた事業者も相当出ているので、申請は増えると思っています。交代勤務を維持せざるをえない中でどうやってスムーズに業務を回していけるかが課題です。中小企業が融資を受けられるまでに、ここで時間をかけてはいけないので、速やかな手続きができるよう態勢を組んでいきたい」と話しています。