郵便局で社員31人感染 窓口時間短縮などに理解を 日本郵政社長

郵便局で社員31人感染 窓口時間短縮などに理解を 日本郵政社長
日本郵政の増田寛也社長は27日の記者会見で、郵便局の社員31人がこれまでに新型コロナウイルスに感染したことを明らかにし、郵便局の窓口時間の短縮など、感染拡大を防ぐための対策に理解を求めました。
日本郵政の増田社長は27日、オンラインで記者会見し、郵便局の社員合わせて31人がこれまでに新型コロナウイルスに感染したことを明らかにしました。

これについて増田社長は「顧客や関係の自治体にご迷惑をおかけし、申し訳なく思っている。グループの規模が非常に大きいので特別に感染者が多いとは思っていないが、今まで以上に感染を防ぐ措置をきちんと講じていくことが必要だと思う」と述べました。

そのうえで、特定警戒都道府県の対象の13都道府県で規模の大きなところを除いて窓口の時間を短縮していることや、ゆうパックなどの当日の再配達の受け付けを中止していることなど、感染拡大を防ぐための取り組みに理解を求めました。

一方、増田社長は、政府が全国すべての世帯を対象に配布する布マスクについて、1通当たり42円、総額およそ26億円で配達を請け負ったことを明らかにし、「利益を見込まずにお引き受けした」と述べました。

郵便局の感染状況

日本郵便では、これまでに、全国20の郵便局で新型コロナウイルスへの社員の感染が確認されたか、感染の可能性が出ています。

このうち、福島県の二本松郵便局では、退職した1人を含め10人の感染が確認され、今月7日から2週間、窓口や配送の業務を休止しました。

この結果、一時、およそ17万通の郵便物などが配達できなくなりました。

また、川崎市の登戸郵便局では今月14日に社員1人の感染が分かり、いったん業務を休止して消毒などにあたり、17日に再開しましたが、その日のうちに別の社員の感染も確認され、再び業務が休止されました。

今月24日に業務が再開されましたが、一時、およそ34万通の郵便物とおよそ1万2000個の荷物が配達できなくなりました。

また、東京・大田区の大森郵便局は今月14日から、札幌市の札幌南一条中郵便局は今月20日からそれぞれ窓口業務を停止しています。このうち、札幌南一条中郵便局は今月30日に再開を予定していて大森郵便局の再開時期は未定となっています。

郵便局の感染防止対策

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、日本郵便は「特定警戒都道府県」の対象の13の都道府県で、規模の大きなところを除いて窓口の営業時間を午前10時から午後3時までに短縮しています。

また、客との接触を避けるために、全国の郵便局の窓口に順次、透明なカーテンを取り付けるなどの対策を取っています。

東京・小金井市の小金井郵便局では、利用できる窓口の間隔をあけたり、足の形のシールを一定の距離をおいて床にはったりして、密集や密接などのいわゆる3密にならないよう、配慮しています。

また、窓口のカウンターは利用者が使うたびにアルコール消毒しているほか、記入台のボールペンも消毒済みかどうかを分かるようにしています。

窓口以外でも、集配関連の作業をする場所では換気やマスクの着用の徹底に加えて、郵便物や小型の荷物を仕分けするための机を1メートル以上、間隔をあけて置き、毎朝、社員の体温を確認しているということです。

一方、企業の在宅勤務の増加を背景に、郊外や住宅地の郵便局では利用者がふだんより増える傾向にあり、小金井郵便局でも今月1日から20日までで見ると、去年の同じ時期の1.5倍になっています。

また、取り扱っている荷物の量も増えています。

ネット通販で購入した商品やフリマアプリを使って利用者どうしが売買した品物の配達が増えているほか、大学や学校の休みに伴って学生や生徒の家庭に届ける書類などの荷物の配達が増えているからだとしています。

郵便局の窓口に数十人が待機するときもあるということで、急ぎでない場合は時期をずらしたり、朝方など、比較的すいている時間帯に来局したりするよう呼びかけています。

小金井郵便局の坂口弘基局長は「われわれも万全の対策を心がけますが、書き損じたはがきの交換など、すぐに必要のない場合は来局を控えていただくとありがたいです。郵便局を閉めるわけにはいかないので使命感を持って対応したい」と話していました。