東京原油市場でも 1万8000円割れ 16年2か月ぶり

東京原油市場でも 1万8000円割れ 16年2か月ぶり
22日の東京原油市場は取り引き開始直後から売り注文が相次ぎ、取り引きの中心となることし9月物の原油の先物価格は、一時1万7280円となり、21日の終値から6150円、26%余り下落しました。原油の先物価格が1万8000円を下回ったのは2004年2月以来、およそ16年2か月ぶりです。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で世界経済が停滞し、原油の需要が大きく落ち込むという見方からアメリカやヨーロッパの原油市場では先物価格の急落が続いていて、東京市場でも原油安の流れが強まっています。
とりわけ21日、ニューヨーク原油市場では、国際的な指標となるWTIの6月物の先物価格が一時、1バレル=6ドル台と、前日の3分の1の水準まで急落したほか、ロンドンの原油市場でも原油の先物価格が大幅に下落するなど原油安が世界に広がっています。

市場関係者は「景気の先行きは不透明で原油の需要は当面、低迷するとみられる。産油国による十分な減産調整も進んでおらず、需給のバランスが崩れたままで価格の低下に歯止めがかかっていない」と話しています。

日銀 石油産業への融資に打撃 金融不安のおそれも

日銀は、原油価格の急落が続けば石油産業に融資をしている国内の金融機関の経営が打撃を受け、実体経済の悪化にとどまらず、金融不安につながる事態に警戒を強めています。

日銀が21日公表した金融システムリポートによりますと、大手金融機関はここ数年、低金利が長引く中で少しでも高い利回りを得ようと、アメリカを中心に海外での投融資を増やしてきました。

とりわけ信用力が低いアメリカのシェールオイル関連企業を含む「電気・ガス・エネルギー」に関連した融資の割合が大きくなっています。

ただ、原油価格の急落によってこうした企業の経営が悪化すれば融資が焦げ付くおそれがあり、金融機関の経営にも影響が及ぶ可能性があると指摘しています。

経営が悪化した金融機関が貸し出しを抑えるようになれば、感染の拡大による実体経済の悪化にとどまらず、金融不安にもつながりかねず、日銀は市場の動向や金融機関の経営を注意深く点検していく方針です。