赤江珠緒さん「子どもの面倒 誰が?」 新型コロナに夫婦で感染

赤江珠緒さん「子どもの面倒 誰が?」 新型コロナに夫婦で感染
夫婦ともに新型コロナウイルスへの感染が明らかになったフリーアナウンサーの赤江珠緒さんが、両親が感染した場合に「子供の面倒を誰がみたらいいのか」と不安な心境をつづった手記を発表し、関心を集めています。
赤江さんは、18日までに、出演するTBSラジオを通じて、自身とテレビ朝日の報道番組「報道ステーション」の制作スタッフをしている夫が、いずれも新型コロナウイルスに感染していたことを明らかにしました。

2歳の長女はPCR検査の結果、陰性と判定されましたが、事務所によりますと、夫が入院したため、現在、発熱の症状が出ている赤江さんが自宅で娘の面倒を1人で見ているということです。

赤江さんは、感染が確認される前の今月16日に、出演するラジオ番組のリスナーに向けて手記を寄せていました。

この中で、「我が家は3人家族で、親が共倒れになった場合の子供の面倒は誰がみるのかという問題があります」と、まだ幼い娘を心配する気持ちをつづっています。

そのうえで、「40度近い熱の上がり下がりの中でオムツを換えたり、具合が悪くなく遊びまわりたい、まだ病気の事など理解できない子供と同室で、果たして療養できるのだろうか。これに関しては情報もなく、まだ解決策も思いついていません。夫と私の発症のピークが、せめてずれる事を願うばかりです」と不安な心境を打ち明けています。

子どもの養育に国の基準なし

厚生労働省は、保護者が新型コロナウイルスに感染して入院し、親族なども面倒を見るのが難しい場合は、病院や児童相談所の一時保護所や児童養護施設などで、子どもを受け入れることを検討するよう、全国の自治体に通知しています。

一方、保護者が入院していない場合は、保護者が子どもと一緒に、自宅で療養を続けるべきかを各地の保健所が判断することになっていて、国として統一した基準は設けていないということです。

厚生労働省は「自治体は個別の家庭の状況を踏まえて、家庭内で感染が広がるリスクを見極めたうえで、必要に応じて家庭以外で子どもを受け入れることも検討してほしい」としています。

専門家「保護者が自宅療養は子どもとともに」

両親が新型コロナウイルスに感染した場合の子どもの世話について、国立成育医療研究センターの賀藤均病院長は「成人と比べて子どもは症状が出にくかったり、軽症だったりすることが多く、子どもだけ陰性となった場合でも濃厚接触者となっているため、親戚や友人に預けるのは注意が必要だ。また、突然、保護者と引き離されるのは、子どもにとって精神的に負担が大きくなる。保護者が自宅で療養できる場合は、マスクをしたり接触を減らす対策などをして、できるかぎり子どもを引き離すことがないようにしてほしい」と提案しています。

一方で、保護者が入院する場合などは子どもと離れるケースも出てくるとして「保護者の病状や子どもの年齢によって対応は異なってくる。行政と病院、それに保護者がしっかりと話し合って、子どもたちにとってどうするのがいいのかを、検討する必要がある」と話していました。

病院で預かってもらう対応も

保護者が新型コロナウイルスに感染し、子どもの世話をすることが難しくなった場合の対応として、東京都内では、児童相談所と保健所を通じて子どもを病院で預かってもらう対応をとっている自治体があります。

杉並区によりますと、これまでに保護者が感染し、子どもの世話ができなくなったという相談が区に複数寄せられ、いずれのケースでも、杉並区は東京都の児童相談所と連絡をとったということです。

児童相談所では、保健所と連携して子どもの受け入れが可能な病院などを探して、一時的に預かってもらったということです。

都内のほかの区でも、すでに児童相談所を通じて病院で預かってもらったところがありますが、杉並区の担当者は「これまでのケースでは、たまたま病院が見つかったが、今後、受け入れられない病院が出てくることも予想される」と話しています。

子どもを持つ母親から不安の声

夫婦ともに新型コロナウイルスへの感染が明らかになった、フリーアナウンサーの赤江珠緒さんが、幼い娘の面倒を見ていることについて、都内で同じように子どもを持つ母親からは、不安の声が聞かれました。

2歳の女の子を持つ30代の母親は「ひとごとではないなと感じました。自分たちが同じ状況になったらどうしたらいいかわかりません。食事やおむつなど親なしには何もできない年齢なので、1人で残すことは考えられません。一緒にいるしかないと思いますが、子どもに感染することがいちばん怖いです。サポートしてくれる施設やシステムがあれば安心ですが、どこにもないのではと思ってしまいます」と不安を口にしていました。

5歳と10歳の2人の子どもを持つ40代の母親は「私たちの両親はもう70代になるので、感染のリスクを考えると親に頼むことはできません。近所の友人の家族と“何かあったら助け合おう”と話しているので、そちらにお願いして預かってもらうかもしれません」と話していました。

小学生の子どもを2人持つ40代の母親は「赤江さんのご家族と同じく、私たち夫婦も共働きなので、同じようなことになる危機感があります。ともに感染したら、子どもを預けられる親族がいないので、両方が感染してしまうことだけはないように、気をつけます」と話していました。

また、小学生から中学生まで4人の子どもを育てる40代の母親は「赤江さんのニュースを見て本当にびっくりしました。実家の両親は高齢なので呼ぶことはできないし、誰かに頼むにしても、家にきていただく方に感染させる可能性があると思うと、声もかけづらい。子どもはそこまで小さくないので、万が一のことを考えて、身の回りのことは1人でできるように、ふだんから言うようにしています」と話していました。

NPO法人代表「行政の支援が必要」

保育所の運営や病気の子どもに対するベビーシッターサービスを行っているNPO法人「フローレンス」の駒崎弘樹代表理事は「両親が感染してしまうと、子どもが行き場を失ってしまうおそれがあることに心を痛めている。しかし、私たち民間では感染症に対する医療体制が整っていないので、行政の支援が必要だ。両親が感染してしまった場合、同じ病院の中で子どもを見てもらえる体制作りをしてほしい」と話しました。

また、両親が自宅で療養している場合について「インターネットで必要なものの注文を受け、買い物を代行することはできると思う。そういった形での支援ができないか検討していきたい」と話しています。