創業150年余 歌舞伎座前の老舗弁当店が廃業 コロナウイルス

創業150年余 歌舞伎座前の老舗弁当店が廃業 コロナウイルス
東京 歌舞伎座の前にある老舗弁当店が新型コロナウイルスの影響で店を閉じることになり、20日、150年余りの歴史に幕を引きました。
東京 銀座の歌舞伎座の前にある弁当店「木挽町辨松」は、明治元年創業の老舗で、歌舞伎座を訪れる観客や俳優などから長年愛されてきました。

その一方で、店では設備の老朽化や後継者の不在などから、この春の事業譲渡を目指していましたが、歌舞伎座の公演が相次いで延期となったことから、譲渡の見通しが立たなくなり廃業を決めたということです。

最後の営業日となった20日は、店が混雑しないよう開店前から整理券を配りました。

そして開店すると、ファンが順番に訪れて名物の懐石弁当などを買い求めていました。

70代の女性は「歌舞伎座に通うようになって30年ここに来ています。寂しいですが『長い間ありがとうございました』と言いたいです」と話していました。

また、30代の男性は「150年の伝統が、新型コロナウイルスが影響して途絶えてしまうのは悲しいです」と話していました。

用意した弁当は昼前に売り切れましたが、店は閉店時間まで営業を続け、長年ひいきにしていた客がねぎらいのため訪れる姿も見られました。

午後5時になると、猪飼信夫社長など3人が店の前に並んで「誠にありがとうございました」と歌舞伎座に向かって深々と頭を下げ、150年余りの歴史に幕を引きました。

猪飼社長は「やり切ったという気持ちはありますが、最後にお客さんを歌舞伎座にお見送りしてやめられなかったのは残念な気持ちがあります。お客さまには感謝しかありません」と話していました。