美術や音楽イベントの中止・延期相次ぐ 専門家「公的支援を」

美術や音楽イベントの中止・延期相次ぐ 専門家「公的支援を」
新型コロナウイルスの感染拡大により、美術や音楽などのイベントが全国各地で中止や延期に追い込まれています。専門家は、こうした文化事業が継続できるよう、早急な公的支援が必要だと指摘しています。
東京 千代田区で中学校を改装したイベントスペースを運営する事業者です。民間のギャラリーなどのテナントが入り、音楽イベントや現代アートなどの展示を定期的に企画してきました。

しかし新型コロナウイルスの感染拡大で都内に緊急事態宣言が出され、営業時間を大幅に短縮せざるをえなくなりました。さらに、ことし夏ごろまでの多くのイベントや貸しスペースの催しも、キャンセルとなり、売り上げは、例年の10分の1以下に落ち込んでいるといいます。

マネージャーの彦根延代さんは「いつまで続くのかと、日々の不安は大きい。アーティストの作品の発表の機会を提供できないことが悔しい」と話していました。

こうした美術や音楽などのイベントは全国で危機的な状態にあります。公立の文化施設などを所管する協会が先月、実施した調査では全国の793施設が主催する事業のうち、92%余りが中止や縮小、延期に追い込まれていたということです。

また民間のコンサルタント会社が今月3日からインターネット上で3000人を超す文化事業者らに行政からの支援は十分か、複数回答で聞いたところ、全体の86%が「金銭的支援が不十分」と答えたということです。

新型コロナウイルスの影響で、海外でも、文化事業者は同様に厳しい局面を迎えていますが、ドイツやイギリスなどでは、すでに公的支援が行われています。

文化庁は補正予算などで、文化施設が再開する場合などの支援を検討していますが、静岡文化芸術大学の片山泰輔教授は「現場はぎりぎりに追い込まれまさに瀬戸際だ。自粛が続く中でも、私たちの生活に音楽や文化、芸術は欠かせないはずだ。その担い手を失うことにならないためにも、文化庁は実効性のある相談窓口を各地に設置するなど、支援の道筋を早急に示すべきだ」と指摘しています。