カミュの「ペスト」累計100万部突破 新型コロナ拡大で再び注目

カミュの「ペスト」累計100万部突破 新型コロナ拡大で再び注目
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新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、感染症の広がる社会を舞台にしたフランスの作家、カミュのおよそ70年前の小説『ペスト』に再び注目が集まり、日本国内の文庫版はこの2か月で15万部余りが増刷されて、累計発行部数が100万部を突破しました。
『ペスト』はフランスのノーベル文学賞作家、アルベール・カミュが1947年に発表した長編小説で、ペストの感染が広がって外部と遮断された社会の中で感染症という見えない敵と闘う市民の姿を描いています。

日本では1969年から文庫版が刊行されていますが、版元の新潮社によりますと、新型コロナウイルスの感染拡大以降、書店からの注文が急増していて、ことし2月から今月7日までに7回、合わせて15万4000部が増刷され、累計発行部数は104万部に達したということです。

ここ20年ほどは平均で年間5000部ほどの増刷ペースだったということで、この2か月でこれまでの30年分に当たる増刷が行われた計算になります。

小説には感染拡大による行政や経済の混乱や、封鎖された都市を描写した「それは自宅への流刑であった」という表現など、今の状況にも通じる描写が見られ、再び注目が集まる理由について新潮社は「突然降りかかった災厄や大きな困難に直面したときに、人間はどう振るまい、いかに生きるべきかを問いかけているからではないか」と分析しています。