英首相 病状に変化なし 政府の非常事態への対応に懸念広がる

英首相 病状に変化なし 政府の非常事態への対応に懸念広がる
新型コロナウイルスに感染し、病状が悪化したイギリスのジョンソン首相は、集中治療室に移ってから一夜が明けましたが、病状に変化はないと伝えられています。イギリスではウイルスの感染拡大が続いていて、国家の非常事態に政府が十分に対応できるのか、懸念が広がっています。
イギリスのジョンソン首相は先月27日、新型コロナウイルスへの感染が明らかになり、自宅で職務を続けてきましたが、その後入院し、6日夜からは病状が悪化したため、集中治療室に移されて治療を続けています。

一夜明けた7日、ジョンソン首相について公式の発表はありませんが、イギリスのメディアは病状に変化はないと伝えています。

主要閣僚の1人でEU離脱に関する実務を担うゴーブ担当相は、7日、メディアに対し、ジョンソン首相は酸素吸入の処置は受けたが、人工呼吸器は使用していないと述べました。また、感染拡大を防ぐための国内の対策をめぐり、首相の入院によって政府の判断が遅れることはないと強調しました。

首相の職務については、今後必要な場合にラーブ外相が代行することが決まっています。

イギリスでは、感染者が5万人以上、亡くなった人は5300人を超えていて、感染拡大は今後ピークを迎えるとみられるだけに、国家の非常事態に首相が事実上不在となることで、政府が十分に対応できるのか、懸念が広がっています。

官邸や議会内で感染拡大の指摘

イギリスでは先月27日にジョンソン首相の感染が明らかになって以降、首相官邸や議会内で感染が拡大しているのではないかと指摘されてきました。

ジョンソン首相とほぼ同じ時期に、新型コロナウイルス対策にあたるハンコック保健相の感染が確認されたほか、政府のアドバイザーや首相の政治顧問、国防相など、複数の閣僚や議員も感染の症状が出ているとして、外部との接触を避ける措置をとっていることが伝えられました。

イギリスでは感染拡大を抑えるため、先月23日から全土で厳しい外出制限が始まり、国民は周囲の人と2メートルの距離を置くことなどが求められていますが、先月25日には議会で、ジョンソン首相や閣僚がとなり合って座っている様子が確認され、国民に求めていることを閣僚自身が実践していないと批判する声も出ていました。

さらに、ウイルスへの対応は長期的な戦略が必要となるだけに、自宅で療養中のジョンソン首相に対し、しっかりと体調を整えたうえで職務に復帰すべきだという意見もあがっていました。

イギリスでは感染者が5万人を超え、感染の拡大と経済や社会への影響を最小限に抑えるための政府の強い指導力が求められています。

そうした中、最前線に立つ首相や閣僚などが、一時的にも職務に徹することができない時期が生まれたことで、政府の危機管理の在り方が問われかねない事態となっています。

安倍首相がツイッターでお見舞い投稿

新型コロナウイルスに感染したイギリスのジョンソン首相の病状が悪化していることを受けて、安倍総理大臣は7日正午すぎ、みずからのツイッターに、「素早い回復を願い、あなたと家族のために祈っています。この困難な時にあって、日本国民は、英国民と共にあります」というコメントを日本語と英語で投稿しました。