症状が重い患者に特化した病院も 医療体制ひっ迫 新型コロナ

症状が重い患者に特化した病院も 医療体制ひっ迫 新型コロナ
医療体制がひっ迫する中、人工心肺装置などの設備が整った医療機関では、症状が比較的重い患者に特化して治療を行っているところも出てきています。
東京 府中市の都立多摩総合医療センターでは、現在、新型コロナウイルスに感染した患者10人が入院しています。

病院では結核患者の病床を転用するなどして現在、新型コロナウイルスの感染者向けのベッドを23床確保しています。

また、「ECMO」と呼ばれる人工心肺装置が3台使用でき、人工呼吸器も30台備えていて、今後、さらに20台ほど増やせる見通しだということです。

このため病院では、症状が比較的重い患者の治療に特化しようと、▽肺炎の症状があったり酸素吸入が必要だったりする中等症の患者と▽人工呼吸器が必要な重症の患者を中心に受け入れを行っています。

また、都内でさらに感染が拡大した場合に備えて、病床数をできるかぎり増やしていきたいと考えていますが、体制を拡大する上での課題にも直面しています。

なかでも深刻なのが防護服やマスクなどの医療物資の不足です。

現在は、ほかの病気の診療で使う分を節約し、何とか確保しているといいます。

さらに、医師や看護師は通常の診療と平行して業務を行っているため、事態が長期化し患者が増え続ければ、ほかの病気の診療を制限せざるをえなくなるおそれもあるといいます。

都立多摩総合医療センターの近藤泰児院長は「マスクや防護服が枯渇すると、内視鏡検査などほかの業務での使用を制限するしかない。病院として可能なかぎり受け入れたいと思うが、患者が急増したら救急を含む一般診療を制限することになりかねず、国や行政には感染拡大の防止策を強く求めたい」と話しています。