災害発生時の避難所での感染症対策強化を

災害発生時の避難所での感染症対策強化を
新型コロナウイルスの感染が拡大する中でも災害が発生すれば、避難所での集団生活を余儀なくされることが懸念されます。さらなる感染拡大を防ぐため、国はホテルなどの宿泊施設を避難所として活用するなど、対策を強化するよう都道府県などに通知しました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、内閣府や厚生労働省などが都道府県などに対して出した通知では、地震や大雨で災害が起きた場合、避難所に多くの人が密集しないよう対策を求めています。

主な内容としては、あらかじめ避難所に指定している施設以外でも使用できる避難所を検討しておくことや、ホテルや旅館などの宿泊施設を避難所に使えるよう調整を進めておくことなどを求めるとしています。

また、避難所を運営する際には手洗いやうがい、マスクの着用といった対策を徹底するほか、避難所を定期的に換気し、人が密集しないような十分なスペースを確保するよう求めています。

一方で、マスクやアルコール消毒液などは全国的な品薄で、自治体での備蓄も難しいことから必要な物資については、できるだけ国が支援するとしています。

内閣府は「新型コロナウイルスの感染が拡大する中、大雨や台風の時期も近づいているので、自治体には、あらかじめできる備えを進めてほしい」としています。

過去の災害でも

過去に起きた災害でも、避難所で感染症の患者が相次いだ事例があります。

9年前の東日本大震災では、岩手県内の避難所で数十人規模でインフルエンザの患者が出たほか、4年前の熊本地震でも、南阿蘇村の避難所を中心にノロウイルスやインフルエンザの患者が相次いで確認されました。

先月11日には北海道で大雨が降り、標茶町の2300人ほどの住民に避難指示が出され一部の住民が避難所に避難しました。

避難所では、新型コロナウイルスなどの感染症対策として、入り口に消毒液を置いたり、床に敷いているマットにテープを貼って1人当たりのスペースを区切り、避難者が接近しすぎないようにしたということです。

おととしの西日本豪雨や、去年の台風19号など全国で大規模な水害が相次ぐ中、ことしも大雨の時期が近づいているため、避難所での感染症対策は喫緊の課題となっています。