年度末の円相場 前年度より2円余り円高 新型コロナで不安定に

年度末の円相場 前年度より2円余り円高 新型コロナで不安定に
東京外国為替市場の今年度末の円相場は、前の年度末と比べて2円余りの円高ドル安となりました。去年の年末までは大きな変動はみられませんでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに値動きが荒くなり、今も不安定な状況が続いています。
今年度が始まった去年春ごろは、円相場は1ドル=111円前後で推移していました。

去年5月にアメリカと中国の貿易摩擦が激しくなるにつれ懸念を強めた投資家がドルを売り、夏にかけて1ドル=104円台まで円高ドル安が進みました。

その後、米中の貿易交渉が合意に近づくにつれてドルは徐々に買い戻され、結局、今年度の初めから先月上旬までは円相場の値動きの幅は8円程度にとどまっていました。

しかし、先月中旬以降、新型コロナウイルスの感染が世界に広がると外国為替市場でも警戒感が一気に高まります。

先月中旬には1ドル=112円台でしたが、世界経済にとって感染拡大が打撃になるという見方からドルが急激に売られ、わずか2週間で101円台まで円高ドル安が進みました。

そして人やモノの動きが制限され、目に見える形で経済活動が停滞するようになると、一転して主要通貨のドルを手元に持っておこうという企業や投資家が増え、ドルを買い戻す動きが強まりました。

円相場は1ドル=101円台から10日ほどで1ドル=111円台後半まで円安ドル高が進み、感染拡大をきっかけに外国為替市場は荒い値動きとなっています。

市場関係者は「新型コロナウイルスの感染拡大で、市場の状況が大きく変わり、1日の値動きも値幅が大きくなっている。不安定な値動きはしばらくおさまらないだろう」と話しています。