入社式直前 一転の内定取消も… 新型コロナウイルス

入社式直前 一転の内定取消も… 新型コロナウイルス
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都内の有名私立大学をこの春卒業し、アパレル企業で働く予定だった女性が新型コロナウイルスの影響で入社式直前の先週、突然、内定を取り消されました。女性は新年度を目前にした3月31日、大学のキャリアセンターから紹介を受けて大手家電量販店の面接に臨んだ結果、採用が決まりました。入社直前の内定取り消しという事態を乗り越え社会人としてのスタートが切れることになり、「すごくほっとしています。また困難に直面してもめげずに頑張りたい」と喜んでいました。

突然のメール

女性は今月、都内の4年制の有名私立大学を卒業した22歳で、第1志望だったという都内に本社があるアパレル企業から内定をもらい就職を決めていましたが、入社式直前の3月27日、突然、内定取り消しを告げるメールが届きました。

女性によると、この企業には25人の内定者がいてLINEのグループで連絡を取り合ったところ、ほかのメンバーにも内定取り消しを告げるメールが届いていたということです。この企業はNHKの取材に対し、「一切お答えできない」とコメントしています。

女性は突然の内定取り消しに、会社に連絡したものの人事担当者には連絡がとれず、「晴天のへきれきで、怒りもありましたが、何よりこれからどう生きていけばいいか不安でいっぱいで」と大学側に相談していました。

急きょ採用面接 そして…

相談を受けた大学のキャリアセンターが受け入れ先を探した結果、家電量販店の「ノジマ」が31日、採用面接を実施してくれることになり、女性は、去年の就職活動以来というリクルートスーツ姿で、横浜市の本社を訪ねました。

面接は30分ほど行われ、新卒採用の責任者の役員から志望動機や仕事を選ぶ基準などを尋ねられ女性は「アパレル業界志望でしたが、同じ接客業の家電量販店でお客様の役に立つ提案をしたいです」などと、答えていました。

その結果、その場で内定が通知され、必要な書類の記入など、慌ただしく取りかかり時折、笑顔を浮かべていました。

入社式前日に急きょ実施された採用面接。手渡された内定通知書は特別なものではなく、ほかの学生たちに去年、内定を出した段階での書面のため「入社までの学生生活を意義あるものとされることを祈念いたします」との文言がつづられていました。

「この経験でタフに 頑張りたい」

また、面接を前に、サプライズで野島廣司社長が面接室を訪れ、「これを人生のターニングポイントにしてほしい」と声をかけると、女性は「ありがとうございます。よろしくお願いします」と緊張した様子で返答していました。

入社式直前のわずか5日間で内定取り消しから新たな内定と、異例の事態を経験した女性は「もうあとがないという緊張感の中で面接を受けました。内定をいただいて、すごくほっとしました。この経験で少し精神的にタフになりました。これからも困難はあると思いますがめげずに頑張りたいです」と前を向いていました。