「どう生きていけば…」入社式直前に内定取り消し 新型コロナ

「どう生きていけば…」入社式直前に内定取り消し 新型コロナ
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都内の有名私立大学をこの春卒業し、アパレル企業で働く予定だった女性が、4月1日の入社式を目前にした今月27日に内定を取り消され、NHKの取材に、「怒りもありますが、これからどう生きていけばいいのか不安が大きくて、まともに寝られていないです」と突然の出来事へのショックを明かしました。女性が内定先から受け取ったメールには「新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と消費の低迷等により、業績は大幅に悪化し、新規に人員を抱えることが難しいという苦渋の経営判断を下しました」などと書かれ、経済の先行きに不安感が増す中、同様のケースが増える懸念があります。
内定が取り消されたのは、今月、都内の4年制の有名私立大学を卒業した22歳の女性で、内定先のアパレル企業に4月1日、入社する予定でした。

この企業は都内に本社があり、洋服の製造や通信販売のほか、全国にある実店舗での販売も行っています。

女性は複数の企業から内定を得ていたそうですが、“第1志望だった” この企業に就職することを決め、去年11月に正式に内定を得ていました。

ここ最近は、入社に向けて事前に与えられた課題に取り組んでいましたが、今月27日、企業から突然メールが届いたそうです。

突然のメール「内定取消しのご連絡」

メールには社長名で書かれた「内定取消しのご連絡」と題する添付ファイルが付いていました。

添付ファイルはA4サイズ2枚で、まず「新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と消費の低迷等により、業績は足元で大幅に悪化しております」と、会社が置かれた状況が説明されていました。

続いて「この難局を何とか乗り越えるべく、経費の削減等を行い経営の改善に努めて参りましたが、社会情勢はさらに悪化の局面をたどっており、今後は既存店舗の大幅な閉鎖や既存人員の大規模な削減も含めた、経営の抜本的な見直しを検討せざるを得ない状況となっております」と記されていました。

さらに「このような経営状況の中で新規に人員を抱えることが難しいという苦渋の経営判断を下しました。本日のお知らせとなりましたことを、深くお詫び申し上げます。何とか内定取消しを回避できないかと最後まで模索しておりました結果ですので、なにとぞ事情ご賢察いただけますと幸いです」などと、内定取り消しに至ったいきさつや謝罪がつづられていました。

そのうえで、“おわび金” として内定者に一律で30万円支払うと記されていました。

「怒り これからどう生きていけば…」

入社式を目前にまさかの内定取り消しの連絡を受けた女性は「まさに晴天のへきれきでした。(企業に対して)怒りもありますが、何よりもこれからどう生きていけばいいのか不安が大きく、メールを受け取ってからまともに寝られていないです」とショックを受けていました。

また企業の対応について「会社にメールをしても返信がなく、電話をしても人事担当者につないでもらえないです。逃げようとしているように感じられます」と憤りをあらわにしていました。

会社「一切お答えできない」

女性によると、この企業には25人の内定者がいて、内定者どうしのグループLINEで連絡を取り合ったところ、企業から内定取り消しの通知のメールが届いているそうです。

この企業はNHKの取材に「一切お答えできない」とコメントしています。

女性がこの春まで通っていた都内の私立大学では、ほかの就職先を探すとともに、弁護士に対応を相談する方針です。

今後も内定取り消しなど増える懸念

厚生労働省のまとめでは、30日時点で、企業が報告した内定取り消しの数は22社で合わせて33人で、業種としては宿泊業や飲食業が多いということです。

経済の先行きに不安感が増し、消費の落ち込みも一段と懸念される中、今後も内定取り消しや採用数の見直しが増える懸念があります。