58人感染確認の障害者施設 県など“非常に難しい対応に”

58人感染確認の障害者施設 県など“非常に難しい対応に”
職員や入所者合わせて58人が新型コロナウイルスに感染していることが確認された千葉県東庄町にある障害者福祉施設について、千葉県は残る職員や入所者についての検査を進めることにしています。ただ、初めての人が施設に入ってくる状況に入所者が動揺するケースも考えられることから千葉県は非常に難しい対応になるとしています。
東庄町にあり主に知的障害のある人たちが入所する障害者福祉施設、「北総育成園」では、27日、この施設に勤務していた40代の調理員の女性が新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。

この女性以外についても今月10日ごろから発熱の症状があった職員がいたことから、県がさらにウイルス検査を行った結果、28日、職員31人、入所者26人の合わせて57人の感染が判明しました。

県によりますと、残る職員2人と、入所者42人、それに通所や短期の利用者9人については引き続き検査を行い、29日にも結果が判明する見込みだということです。

感染が確認された職員32人は全員を医療機関に入院させる一方障害のある入所者26人は施設にとどまり、昨夜は施設の看護師を中心に状況の確認を行ったということです。

県とこの施設を管理する船橋市は必要な場合は入所者を病院に搬送したいとしていますが、障害の状況もあり、難しい対応を迫られそうです。

千葉県は、「初めての人が施設に入ってくれば入所者が動揺するケースも考えられる。非常に難しい対応になるので国や船橋市と協力して対応に当たりたい」と話しています。

治療どのように進めるか課題

今回、集団感染が確認された障害者福祉施設「北総育成園」は、主に知的障害のある人たちが入所しています。入所者の中には環境の変化に敏感で、直ちに一般の病院に入院するのが難しい人もいて、今後、どのように治療を進めていくのかが大きな課題です。

検査・感染の状況

千葉県によりますと、施設では入所者や職員、合わせて146人のうち、これまでに93人が検査を受け、58人の感染が確認されました。このうち入所者については70人のうち発熱などの症状がある28人が検査を受け、26人の感染が確認されました。残る42人と短期の入所や通所の利用者9人についても引き続き検査を行うことにしています。

また、職員については67人のうち65人の検査を行い32人の感染が確認されたということです。

今後、入所者は

施設を設置する船橋市によりますと、入所者は個室に入居する一方、昼間は食堂に集まって一緒に食事をとったり、6人から10人ほどのグループで農作物の栽培や工芸品の制作などの共同作業を行ってきました。感染の確認を受けて28日からはそれぞれの個室から出ずに生活しているということです。

入所者のなかには環境の変化に対応することが難しく、直ちに受け入れ態勢の整っていない一般の病院に入院することが難しい人もいるということで、しばらくは施設にとどまって治療を受ける方針だということです。

入所者の治療態勢は

千葉県や船橋市によりますと、28日の時点では重症者はおらず、現在は、ふだんから施設を担当している看護師だけで入所者の健康状態の観察を行っています。
今後、感染症に詳しい医師の派遣を検討するとともに、入所者の症状などに応じて入院先の調整などを進めることにしています。

生活介助は

29日以降は検査結果が陰性だった職員が引き続き食事などの生活支援にあたることにしています。一方で、67人の職員のうち半分近くの32人の感染が確認されていることから今後は他の福祉施設から応援をもらうなどの対応を検討したいとしています。

さらなる感染の防止策は

船橋市は28日、介助を行う際の感染を防ぐため防護服やゴーグル、ガウン、手袋などの物資を施設に送ったということで、職員はこうした装備を身につけて対応にあたるということです。一方、施設には感染拡大防止の専門的なノウハウはなく、今後、専門家の助言を受けながら対応を進める方針です。