外出制限 世界の各都市の現状は… 新型コロナウイルス

外出制限 世界の各都市の現状は… 新型コロナウイルス
新型コロナウイルスの感染が急速に拡大する中、各国の都市では、外出制限や営業停止など市民生活や経済活動が著しく制限される事態となっています。

米ニューヨーク

ニューヨーク州では、今月22日から住民に外出を控えて自宅にとどまるよう求める措置がとられています。

警察、病院、スーパーの店員などのほか、電気や水道など都市機能の維持に必要な業種を除くすべての従業員などの出勤が禁止となり、違反のあった事業者には罰金や罰則が科されます。

ブロードウェイなどの劇場や映画館も閉鎖され、飲食店も店内の密集を避けるため持ち帰りや配達以外の営業を禁止していて、休業を決めたところもあります。

アメリカ政府は、個人の所得に応じて1人当たり日本円で最大13万円を現金で給付する措置や失業手当の拡充、さらに経営が悪化する中小事業者には従業員の雇用を維持して給与の支払いを続けられるよう支援することなどを盛り込んだ経済対策を計画しています。

パリ

フランスでは、今月17日から首都パリを含む全土で15日間にわたって外出を制限したり、集会を禁止したりする措置に踏み切りました。

外出は、食料品など生活必需品を買いに行く場合や病院に行く場合、それに家ではできない仕事をする場合に限られ、外出の際には理由を書いた書類を持ち歩かなければなりません。繰り返し違反した場合の罰金は、日本円で最大18万円余りとなっています。

パリでは、市民の憩いの場であるセーヌ川の川岸やエッフェル塔のたもとにある公園などが原則、立ち入り禁止になっているほか、レストランやほとんどの商店が休業を強いられています。

レストラン連盟の会長で、北西部のブルターニュ地方でレストランを営むユベール・ジャンさんは、NHKの取材に対し「この暮らしがいつ終わるか、店をいつ再開できるかわかりません。感染の拡大を抑えることが最優先ですが、倒産する店が出ずに誰もが営業を再開できるようになってほしい」と話しています。

また、パリでレストランを営む日本人シェフの小林圭さん(42)は「今はたまに歩いている人を見ても表情が暗いです。同居していない人と2人で歩いてはいけないという政令も出ているので、パリ自体が元気がない感じです。マクロン大統領が『これは戦争だ』と言っていましたが、そのくらいの価値観でいたほうがいいかもしれない」と話しています。

一方、フランス政府は、営業停止で仕事がなくなったレストランや商店などの従業員については、原則として、給与の7割を支給するとしています。また企業に対して、納税の猶予を認めるほか零細企業の経営者や個人事業主に日本円で最大18万円余りの補助も行うことにしています。

ロンドン

イギリスでも、ロンドンを含む全土で食料品を買いに行く場合などを除いて、不要不急の外出は事実上禁止されています。違反した場合には日本円で約8000円の罰金が科されます。

スーパーなどでは入店する人数を制限しているほか、店の前では買い物客が2メートルの間隔をあけて並んでいます。

政府は雇用が維持されるよう、従業員の賃金の80%、月額約33万円を上限に肩代わりすることにしています。

中国・武漢

世界で最初に大規模な感染が確認され、1月23日に封鎖された中国・湖北省武漢市では、市民に対して武漢を離れないよう求めるとともに、地下鉄やバスなどすべての公共交通機関の運行を停止して、駅や空港も閉鎖、その後、自家用車の運転も禁止となりました。

団地ごとに出入り口に担当者を配置して徒歩での外出も禁止し、食料品や日用品などの買い物はインターネットを使った通信販売か団地ごとのまとめ買いに制限しました。

武漢市ではその後、新たな感染者が減って今月18日には初めてゼロになり、来月8日には武漢を出発する鉄道の運行と飛行機の運航が再開される予定で、封鎖が事実上、解除されることになっています。