外出自粛で在宅の高齢者ねらう不審電話相次ぐ 詐欺か 警視庁

外出自粛で在宅の高齢者ねらう不審電話相次ぐ 詐欺か 警視庁
不要不急の外出を控えるよう呼びかけが行われる中、家にいる高齢者をねらう詐欺とみられる不審な電話が相次いでいます。警視庁は、感染のリスクを抑えながら高齢者に注意を呼びかける新たな対策を進めています。
警視庁によりますと、新型コロナウイルスの感染拡大に乗じて、「助成金が支給される」とか「マスクや検査キットを送る」などといった詐欺とみられる不審な電話が都内の高齢者などの自宅に相次いでいます。

このうち葛飾区の70代の男性は、今月13日に知らない番号から「新型コロナウイルスの助成金が支給される」という不審な電話を受けましたが、すぐに切って警視庁に通報しました。ATMに誘導して逆にお金を振り込ませる詐欺の電話だったとみられています。

男性は、NHKの取材に「“火災保険の協会”のような公的な機関の職員を名乗る落ち着いた女性の声だった。火災保険に入っている人にはウイルスの助成金が支給されると一方的に2、3分にわたって話していた」と証言しました。

不要不急の外出を控えるよう呼びかけが行われる中、家にいる高齢者をねらうこうした詐欺の電話はさらに増えるおそれがあります。

警視庁は、これまで高齢者が多く集まるイベントなどを通じて注意を呼びかけてきましたが、軒並み中止となっているため、感染拡大のリスクを抑えながら注意を促す新たな対策を進めています。

台東区の蔵前警察署では、町内会の役員などに依頼して、知り合い3人以上に電話をかけてもらい、最新の詐欺の手口などについて注意を呼びかけてもらう取り組みを始めました。

知らない番号からの電話には出ないことや、自宅にいるときも留守番電話に設定しておくことなどを呼びかけて、電話を受けた人もさらに3人にかけてもらうようお願いしています。

不特定多数の人が集まったり接触したりすることなく、多くの人に注意を伝えていくのがねらいです。

取り組みに参加した76歳の女性は「外出を控えていて、友達に会う機会が減っているので、こうした電話で話ができるのもよいと思う」と話していました。

警視庁ではこのほか、高齢者向けに新聞広告を掲載したほか、ツイッターでも身近な高齢者に伝えてほしいとしたうえで情報を発信しています。

警視庁犯罪抑止対策本部の鳥谷峯慶子警部補は「在宅の時間が長くなると詐欺の電話を受ける危険性が高くなるので、留守番電話に設定したうえ、お金の話をする電話はすべて詐欺だと思ってすぐに切ってほしい」と呼びかけています。