米NY州 人工呼吸器の不足深刻 新型コロナの患者急増で

米NY州 人工呼吸器の不足深刻 新型コロナの患者急増で
新型コロナウイルスの感染が世界各地で拡大するなか、アメリカでは、ニューヨークを中心に感染者が急増し、人工呼吸器が不足する深刻な事態となっています。
アメリカCDC=疾病対策センターの25日の発表によりますと、全米の感染者は5万4453人と、この10日間でおよそ13倍に急増したほか、死亡した人も737人に上っています。

とりわけニューヨーク市とその周辺で感染が拡大していて、ニューヨーク州のクオモ知事は記者会見で「これまで、このような数の人工呼吸器が必要になった事態はない」と述べ、政府などに支援を求めました。

ニューヨーク州によりますと、州内の医療機関には、およそ4000台の人工呼吸器があるとされていますが、このペースで重症の患者が増えれば、最大4万台が必要になるということです。

しかし、24日の時点で届いたのは、400台にとどまっているということです。

また、首都ワシントンでは、市長が25日、一部の業種を除いて、企業活動を停止させる措置を発動し、病院や食料品店など生活に不可欠とされる特定の業種を除いて企業活動が停止することになりました。

こうした中、トランプ大統領は、国民に外出を制限するよう求めた15日間の行動指針について延長するかどうか記者から問われると、「アメリカには、ほとんど感染が広がっていないところが多くある。一方で、非常に深刻なところもある」と述べ、行動指針を地域ごとに見直すことも検討する考えを示しました。

そのうえで、感染対策が経済に悪影響を及ぼしているとして、早期に経済活動を再開させることに改めて意欲を示しました。

ただ、早期の経済活動の再開をめぐっては、専門家からも感染拡大につながるおそれがあるとして、反対する声があがっていて、議論を呼んでいます。

動物用の人工呼吸器貸し出しも

アメリカ・ニューヨーク州などでは、新型コロナウイルスによる患者が急増し、人工呼吸器の確保が課題になる中、大学の獣医学部などが、動物の治療に使う人工呼吸器を貸し出す動きも出始めています。

地元メディアによりますと、このうち、ニューヨーク州に本部があるコーネル大学の獣医学部は、動物の治療に使う人工呼吸器を大学の医学部に貸し出したほか、マサチューセッツ州のタフツ大学の獣医学部も、ボストン近郊の病院に人工呼吸器を貸し出したということです。

アメリカの獣医師によりますと、動物に使う人工呼吸器はヒトに使うものと同じだということで、消毒したうえで調整すれば問題なく使えるということです。

このほか、マサチューセッツ工科大学では、学生らが、応急的な措置として比較的単純な構造で動く人工呼吸器を設計して、FDA=食品医薬品局に緊急で承認するよう求めるとともに、インターネットに設計図を公開して誰でも作れるようにするなど、人工呼吸器の確保に向けた取り組みが続いています。