インド 全土封鎖で現地の日本人にも影響 新型コロナ

インド 全土封鎖で現地の日本人にも影響 新型コロナ
k10012349861_202003251941_202003252018.mp4
インドは新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと25日から3週間、全土が封鎖され、工場の操業停止や帰国を急ぐなど現地の日本人にも大きな影響が出ています。
人口がおよそ13億のインドでは、新型コロナウイルスの感染者が500人を超え、9人が死亡していて、特にこの1週間で感染者が急増しています。

モディ首相は、24日、テレビ演説を行い、25日から3週間、全土を封鎖すると述べたうえで、食料品の買い物や通院などを除いて外出を控えるよう強く求めました。

突然の発表から一夜明けた首都ニューデリーでは、ふだんは多くの人でにぎわう商店街が、薬局など一部の店舗を除いてシャッターが閉められ、閑散としていました。

また、営業している店舗では、水やパンなどの食料品を買い求める人の姿が見られました。

一方、現地の日本人の中には急きょ、帰国する人もいて、慌ただしく準備に追われていました。

ニューデリーで駐在員の夫と小学生の娘2人と生活する芝本李奈さんは、会社の要請で25日夜、帰国することになり「医療制度がどの程度整っているかわからないので、早い段階での封鎖は適切な判断だと思います。子どもたちもインドでの生活を楽しんでいるので落ち着きしだい、早く戻りたいと思います」と話しています。

オフィスや工場は原則閉鎖され、自動車メーカーをはじめ、多くの日系企業が工場の操業を停止するなど、現地で暮らす日本人にも大きな影響が出ています。

適切な医療受けられない人も多数

地元メディアなどは「世界最大の封鎖」と伝えています。

インドで初めて新型コロナウイルスの感染が確認されたのは、1月30日で、2月初め以降は、およそ1か月間、新たな感染がありませんでした。しかし、今月に入って感染が増え始め、25日までに感染が確認されたのは562人で9人が死亡し、特にこの1週間で感染者が急増しています。

また、医療体制の不備も指摘されていて、地元メディアなどは、欧米のように感染者が爆発的に増えた場合、対応できる医師やベッドなどが十分ではないと伝えています。また、農村部や貧しい人たちが暮らすスラムなど適切な医療を受けられない人たちも多くいます。

モディ首相は24日のテレビ演説で「世界で最も優れた医療体制が整うアメリカなどの先進国でもウイルスの感染拡大を防げなかった。この21日間が感染の拡大を止めるのに重要だ」と述べて危機感を強調し、国民に対し、自宅にとどまるよう強く求めました。

また、モディ首相は演説で、1500億ルピー、日本円でおよそ2200億円を医療体制の整備に充てることを明らかにしました。