小池都知事「これからが大変」 東京五輪・パラ延期

小池都知事「これからが大変」 東京五輪・パラ延期
東京都の小池知事は東京オリンピック・パラリンピックが1年程度延期されたことについて「時間的な感覚が出てきた」と述べ、改めて準備を急ぐとしたうえで、大会開催に向けて新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ対策に最優先で取り組む考えを示しました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて東京大会が1年程度延期されることが決まってから一夜明け、東京都の小池知事は都庁で記者団に対し「まずはホッとする部分もあるが『これから大変だ』という思いだ。問題は山積だが、中止になるよりはよかった」と述べました。

そして「だいたいの時間的な感覚がこれで出てきた。延期が1年先か2年先かではお金のかかりようも違うし、会場のおさえ方も違う。雲をつかむような話からは、かなり具体的になってきた。みんなで感動できるように下準備をしていきたい」と述べ、準備を急ぐ考えを示しました。

そのうえで、小池知事は「何よりも新型コロナウイルスの対策をやらないと何も進まないのは変わっていない。感染の広がりを抑えることがいま都にとって1番重要だ」と述べ、大会開催に向けて感染拡大を防ぐ対策に最優先で取り組む考えを示しました。

東京都の担当職員「ポジティブに受け止める」

延期が決まったことを受けて、開催都市の東京都の担当職員からは、課題の洗い出しを急ぎ、大会の成功に向けて新たに準備を進めたいという声が聞かれました。

東京オリンピック・パラリンピックが1年程度、延期されることが決まってから一夜明け、東京都庁にあるオリンピック・パラリンピックの準備を担当する部署には午前8時ごろから職員が次々と出勤してきました。

開催都市としての大会運営を担当する末村智子運営担当部長は「7月の開催に照準を合わせて地域や企業に多大な協力をいただいてきたので、申し訳ないという気持ちはあります。延期によっていただいた時間をチャンスにかえて、選手や観客の皆さんにより安心して東京に来てもらえるように準備を進めたい」と話していました。

また、選手や観客の輸送を担当する松本祐一輸送課長は「延期は致し方ないと思っています。準備の期間が長く取れるとポジティブに受け止めて、これまで進めてきた計画のどこに影響が及ぶのかきちんと洗い出し、万全な体制で大会を迎えたい」と話していました。

神奈川 黒岩知事「最高の大会へ全力」

東京オリンピック・パラリンピックが延期されることを受けて、野球やソフトボール、サッカーなどの会場がある神奈川県の黒岩知事は「大会が中止にならずにほっとしている。ことしの開催に向けて全力をあげてやってきたので、延期は残念だがやむをえない」と述べました。

神奈川県はセーリングの会場となる藤沢市内の港に係留されるなどしている700隻以上のヨットやクルーザーなどを移動させる作業を進めていました。

9割ほどの船の移動が終わった段階だということで、黒岩知事は「4年間かけて船の移動先を確保して利用者の理解を得ながらやってきた。1年の時間ができたことで船を戻すのかどうか、利用者の希望を聞いていきたい」と述べました。

そのうえで「これからやらないといけない作業は膨大にあるが、1年延びるのであれば最高の大会になるように全力をあげていきたい」と話していました。

埼玉 大野知事「課題 早急に洗い出す」

東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まったことについて、バスケットボールやゴルフなど合わせて4つの競技会場がある埼玉県の大野知事は、「予定どおりの日程で、ついきのうまで準備を進めてきただけに大変残念だ」と述べました。

そのうえで「競技会場や聖火リレーなどは、そのまま維持されるべきで、ボランティアや関係者、それにチケットを購入した方に最大限配慮が必要だと思う。延期によるさまざまな課題を早急に洗い出し、大会への機運を失わせることのないようしっかり対応していきたい」と述べました。

千葉 森田知事「残念だがやむをえない」

東京オリンピック・パラリンピックが延期されることについて、県内で合わせて8つの競技が開催される千葉県の森田知事は記者団に対し「残念だが皆さんが喜んで楽しめるオリンピックにするためにはやむをえないことだ」と述べました。

また、一つの会場として最多の7つの競技が行わる予定の幕張メッセについては、当初の開催時期に合わせててことし4月下旬からの5か月間でおよそ370団体に使用を見合わせてもらっていたことを明かしたうえで、「幕張メッセが来年の会場を確保するために、多くの顧客に頭を下げていくのは大変なことで、千葉県としてもできるかぎりのことはやるが、国にも支援をお願いしたい」と話しました。

千葉県は幕張メッセの運営会社の筆頭株主ですが、延期で空白となったことしの使用予定については「頭が痛いが顧客に説明を尽くし、ぜひ使ってもらえるような知恵をひねっていきたい。『メッセはころころ言うことが変わって信用できない』として、お客さん離れが起きることのないようにしたい」と話しました。

森田知事は来年4月に任期満了を迎えますが、次の知事選については「まずは千葉県で8つの競技が成功できるよう道筋をつけることがいちばんで、自分のことは二の次だ」と述べましたが、「知事としてオリンピックを迎えたいか?」と聞かれると「それはやはり自分の気持ちとしてはあるが、いろいろな面に左右されるからなんともいえない」と答えました。

北海道 鈴木知事「課題を洗い出す」

北海道の鈴木知事は、記者団に対し「アスリートや、支える人の健康と命を守るための判断として支持したい。命があれば課題は乗り越えられるので、世界で一致結束して新型コロナウイルスと闘って勝利し、来年のオリンピックがその象徴となるよう全力を尽くしたい」と述べました。

そのうえで鈴木知事は「会場確保をはじめ、ことしの予定で準備していたスケジュール調整などさまざまな課題がある。さまざまな想定をシミュレーションし、課題を洗い出したい」と述べました。

札幌 秋元市長「いろいろと考え直す」

マラソンや競歩などが行われる札幌市の秋元市長は記者団に対し「当初の予定どおり開催されないことについては残念だと思っているが、世界的な感染拡大の状況を考えると延期はやむをえず、妥当な判断だと思う。準備の時期などについてもいろいろと考え直さなければならないと思う」と述べました。

そのうえで秋元市長は、コースの道路整備や、ボランティアの募集といった準備のスケジュールを見直す必要があるという考えを示しました。