大関昇進の朝乃山「相撲愛し正義全う」

大関昇進の朝乃山「相撲愛し正義全う」
大相撲の朝乃山が25日正式に大関に昇進し、伝達式の口上で「大関の名に恥じぬよう相撲を愛し、力士として正義を全うし一生懸命努力します」と決意を述べました。
日本相撲協会は、大阪 浪速区にある大阪府立体育会館で5月の夏場所に向けた番付編成会議と臨時理事会を開き、朝乃山の大関昇進を正式に決めました。

これを受けて相撲協会の2人の使者が朝乃山と師匠の高砂親方が待つ大阪 中央区の高砂部屋の宿舎を訪れ、大関への昇進を伝えました。

これに対し朝乃山は口上で「謹んでお受け致します。大関の名に恥じぬよう相撲を愛し、力士として正義を全うし一生懸命努力します」と決意を述べました。

出羽海親方「口上に意欲を感じた」

日本相撲協会の使者として、大関に昇進した朝乃山のもとを訪れた出羽海親方は「朝乃山は緊張していたように見えた。口上には、しっかり頑張るという意欲を感じた。真っ向勝負という意味で、今の相撲をさらに磨いてさらに上を目指してほしい」と話していました。

同じく使者を務めた千田川親方は「堂々としていた。あまり緊張せず、はっきりと自分の思いを話していた。同じ高砂一門なので期待している。頑張ってほしい」と期待していました。

高砂親方「口上は百点満点」

朝乃山の口上に使われた「一生懸命」ということばは元大関 朝潮の高砂親方が昇進したときにも使っていたことばで、高砂親方は朝乃山の口上について「百点満点だった」と称賛しました。

朝乃山の成長ぶりについては「みるみる体が大きくなってきたし、よく稽古もした。特に優勝した去年の夏場所は、右を差して左上手を取る相撲を取れていて、本人にとっても、大きな自信になったと思う」と話しました。

そして「強くなれば強くなるだけ注目も増えるし、いろいろな人に見られることになる。立ち居振る舞い、行動に責任を持って高砂部屋の看板を背負う気持ちを持ってほしい」と話していました。

八角理事長「土俵に上がったら鬼に」

大関に昇進した朝乃山について、日本相撲協会の八角理事長は「朝乃山の相撲っぷりは堂々としている。これからは右四つの型を磨くことと、もっと気迫を前面に出し、土俵に上がったら鬼になるくらいの気持ちで、ふだんも土俵もすべての生活を相撲に懸けてほしい。期待している」とコメントしました。

両親「これからも精進を」

朝乃山の父親の石橋靖さんは「今になって思えば、あっという間に大関まで駆け上がってくれた。地元に錦を飾るのが1つの夢だと言っていて優勝した時に、それは1つ達成できたかと思うが、この世界に入ったからには、さらに上、大関、横綱を目指してほしいと周囲の人たちも願っていると思うので、これからも、それに向かって精進してほしい」と激励していました。

母親の佳美さんは、朝乃山の高校時代の恩師である浦山英樹さんの遺影を持って伝達式を見守り「感動しました。心配する気持ちはあるけれど、本人が決めて進んだ道なので全面的に応援すると決めて、この日を迎えることができました」と、これまでの道のりを振り返っていました。

「口上」とは

大関昇進は、日本相撲協会の使者が新大関と師匠のもとを訪れて直接伝達し、新大関は、受諾する意思とともに大関としての決意を示す「口上」を述べます。

平成の大横綱 貴乃花は、平成5年に大関に昇進した際、「今後も不撓不屈の精神で相撲道に精進します」と述べました。

「不撓不屈」は「どんな苦労や困難にもくじけないこと」という意味の言葉で、貴乃花が横綱昇進の際にも用いていました。

貴乃花のように四字熟語を用いる例は多く、貴乃花の兄の元横綱 若乃花が大関に昇進した際は「今後も一意専心の気持ちを忘れず相撲道に精進致します」と口上を述べました。

「一意専心」は「わき目もふらず心を一つのことだけに注ぐ」という意味です。

一方で、四字熟語などを使わない簡潔な口上もありました。

元横綱 稀勢の里が平成23年に昇進した際の口上は「大関の名を汚さぬよう精進します」ということばでした。

去年の春場所のあと、貴景勝が大関に昇進した際には「武士道精神を重んじ、感謝の気持ちと思いやりを忘れず相撲道に精進して参ります」と述べ、「武士道精神」という漢字5文字に思いを込めました。

そして、朝乃山の師匠の高砂親方が、朝潮として大関に昇進した際には「大関の名に恥じぬよう、これからも一生懸命がんばります」と述べていて、朝乃山がどのようなことばを用いるのか伝達式での口上が注目されています。

朝乃山とは

大関に昇進した関脇 朝乃山は富山市出身の26歳。

身長1メートル88センチ、体重177キロの体格をいかした前に出る相撲が信条で、右を差し左の上手を取る「右四つ」が得意です。

小学生の時に相撲を始め、富山商業高校では当時、相撲部の監督で3年前に亡くなった浦山英樹さんから「右四つ」を学びました。

大学は強豪の近畿大学に進み、ことし1月、初場所中に急死した伊東勝人監督の厳しい指導で頭角を現し4年生で出場した全日本選手権ではベスト4に入るなど活躍しました。

そして、大学の先輩に当たる元大関 朝潮、高砂親方が師匠を務める高砂部屋に入門し卒業後の平成28年春場所、三段目100枚目格付け出しで初土俵を踏みました。

大関 貴景勝や御嶽海など同世代の関取が押し相撲を得意とする中、アマチュア時代から一貫して磨き続けた「右四つ」で寄り切る相撲を持ち味に順調に番付を上げ、平成29年秋場所で新入幕を果たしこの場所で10勝をあげて敢闘賞を獲得しました。

前頭8枚目で臨んだ去年の夏場所では、12勝3敗で初優勝し千秋楽にアメリカのトランプ大統領から「アメリカ大統領杯」を手渡され大きな注目を集めました。

大関昇進に向けては、新小結で臨んだ去年の九州場所で11勝、新関脇で迎えたことしの初場所では10勝し2場所続けてふた桁勝利をあげました。

そして、大関昇進がかかった春場所も信条の前に出る相撲を貫き、「右四つ」の力強い相撲で白星を重ね、白鵬と鶴竜の両横綱には敗れましたが、千秋楽に大関 貴景勝を破るなど11勝をあげました。

直近3場所の勝ち星の合計は「32」で、大関昇進の目安とされる「33」には届かなかったものの昇進の議論を預かる日本相撲協会の審判部から相撲内容が高く評価されていました。