東京五輪・パラ 1年程度の延期へ アスリートたちの声は…

東京五輪・パラ 1年程度の延期へ アスリートたちの声は…
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、IOC=国際オリンピック委員会は24日に臨時の理事会を開き、バッハ会長と安倍総理大臣とで合意した東京オリンピック・パラリンピックの1年程度の延期を承認しました。出場する予定だった選手や監督たちからは、さまざまな声があがっています。

ラグビー福岡「自分にできる最高の準備を」

東京オリンピックを目指して7人制ラグビーに専念し、大会後は現役を引退して医師を目指すことを表明している福岡堅樹選手は、自身のツイッターで実家の猫の写真を掲載したうえで「何がどう転ぶか分からないこんな状況の時にこそ、実家から送られてくるこの癒やしの存在には助けられます。自分にコントロールできないことは考えても仕方ない。今の自分にできる最高の準備を続けよう!」とコメントしました。

サッカー男子 森保監督「延期になったとしても…」

サッカー男子で東京オリンピック世代の23歳以下の代表を指揮する森保一監督は「人々の命と健康があってこそのオリンピックだと思っています。延期になったとしても、大会までの1回1回の活動に最善を尽くすことに変わりはありません。各活動を充実させて、東京オリンピック開催時によりパワーを持って臨めるよう、これまで積み重ねたものをさらに積み上げていきます。世界中の人々に平穏で当たり前の日常生活が戻るよう、この状況が収束を迎えることを願っています。選手・スタッフをはじめ、開催準備のために多くの方がご尽力されてきたと思いますが、今後とも、粘り強く、大会成功に向けてともに頑張っていきましょう」とコメントを発表しました。

サッカー男子堂安「1年後の目標に向かってしっかり調整」

サッカー男子の東京オリンピック世代の主力で、オランダ1部リーグ、PSVに所属する21歳の堂安律選手は「オリンピックのためにトレーニングを積んできたので少なからず驚きはありました。最近はおそらくヨーロッパのほうが深刻な状況になっている中で僕は2週間ほど、自宅で待機している状況でした。オリンピックがどうなるかわからず待機しているのはすごくつらかったので、こうして早く決断してくれたこと、1年後という新しい目標を立てられることをすごくポジティブにとらえています」と話しました。

そのうえで「日本だけじゃなく世界が1つになってこの危機を乗り越えて、僕たちアスリートは1年後の目標に向かってしっかり調整して皆さんに感動を与えられるよう頑張りたいと思います」と意気込みを話しました。

なでしこジャパン 高倉監督「動揺はあると思うが…」

サッカー女子の代表「なでしこジャパン」の高倉麻子監督は「スポーツに人生をかけることができるのも、また、それを応援し、楽しむことができるのも、世界の平和と人々の健康があってこそです。選手それぞれの心に動揺はあると思いますが、チームはこれまで通り、粛々と揺るぎなく成長していくこと、頂点を目指すことだけを考えて、与えられた時間を最大限生かして前進していきたいと思います。新型コロナウイルスで苦しんでおられる方々が回復され、世界中の人々が笑顔で平和の祭典であるオリンピックを迎えられることを願っています」とコメントを発表しました。

なでしこジャパン 岩渕「こんな時だからこそポジティブに!」

「なでしこジャパン」のエース、岩渕真奈選手は自身のツイッターで「いっぱい練習してもっともっと強くなれるように頑張るしかないですね。こんな時だからこそポジティブに!がんばるぞー。みんなが笑顔になれるいい大会になればいいなー!!!2021東京オリンピック」とコメントしました。

陸上 サニブラウン「今やるべき事をやっていくだけ」

陸上男子短距離のサニブラウンアブデル・ハキーム選手は、東京オリンピックが1年程度延期されることについて「急きょの決定でビックリしました。アメリカもまだまだ厳しい状況が続いていますが、1日も早く世界中で収まることを祈っています。僕自身は、2021年に自分の思う形に持っていけるように今やるべき事をやっていくだけです。日本の皆さんも一緒に頑張っていきましょう」とするコメントを出しました。

卓球 水谷「僕はできる」

4大会連続のオリンピック出場が内定している卓球の水谷隼選手は、競技人生の集大成として東京オリンピックに臨む意向を示していました。
水谷選手は自身のツイッターで、「僕はできる」という意味の「I can do it」という英語のコメントとともに、卓球と日本の国旗の絵文字を記しました。

パラ陸上 佐藤「金メダルに向け突き進む」

パラ陸上のエースで、東京パラリンピックでは車いすの2種目で金メダル獲得が期待される佐藤友祈選手は、自身のツイッターで「ことしにできないということはとても悲しいけれど、世界の現状を考えるとこれがマストかな。東京パラでの金メダル獲得、世界記録の更新に向けて突き進みます」とコメントしました。

パラ陸上 井谷「複雑な心境だ」

東京大会で初のパラリンピック出場を目指している陸上男子100メートル義足のクラス、井谷俊介選手は「新型コロナウイルスで犠牲になる人が出ている中で、オリンピックとパラリンピックを開く意義が問われていたと思うので、適切な判断だと思う」と理解を示す一方、「ことしをラストイヤーと思って2020年にかけてきた選手もいるので複雑だ」と心境を語りました。

この種目でアジア記録を持つ井谷選手は、パラリンピック出場に必要なランキングを上げるために出場を予定していた大会が新型コロナウイルスの感染拡大の影響で相次いで中止となり、出場枠の決め方も不透明になっています。

井谷選手は「今月の大会にすべてをかけてピークを持ってきていたのにという思うもあるし、いつ時点のタイムで出場枠を決めるのかという思いもあるが、僕はまだ若く、伸び悩むことはないと信じて落ち込むことなく走りたい」と前を向きました。

そのうえで「早くウイルスが終息して東京大会を迎え、チャレンジすることの大切さを伝えたい」と話していました。

パラ走り幅跳び 高田「選手選考 やり直しの不安も」

陸上女子走り幅跳び、視覚障害のクラスですでに東京パラリンピック出場が内定している高田千明選手は「延期とはいえ開催されることになってよかった。大会がいつ開催されるとしてもそこに向けて悔いのないように練習に取り組みたい」と話していました。

一方で「大会の出場が内定はしているが決定ではないので、1年程度延期となったら選手選考がやり直しになるかもしれないという不安もある。必死の思いで勝ち取った内定をもう1回とるとなったらモチベーションを再び高めるのは難しい」と不安を募らせていました。

パラ卓球 岩渕「中止じゃなくてよかった」

東京大会でパラリンピック2大会連続の出場を目指す卓球の岩渕幸洋選手は自身のツイッターで「中止じゃなくてよかった。まずはアスリートというよりも、オリンピック、パラリンピックに関わるすべての人の健康ファーストで、安全安心な大会にしてほしい!コロナに打ち勝とう!」とコメントしています。

パラ カヌー 瀬立「アスリートを第一に考えて決断」

東京パラリンピックのカヌーの日本代表に内定している瀬立モニカ選手はNHKの取材に対し、「4年前のリオデジャネイロパラリンピックが終わってから2020年の東京大会のためにトレーニングを積んできたので残念な気持ちもあるが、健康が保証されないと大会が成立はしないと思う。苦渋の決断だったとは思うが、アスリートを第一に考えて決断してくれたのだと思う」と理解を示しました。

そのうえで「私は若手ではあるので、あと1年あれば自分が成長できる期間として前向きに捉えることもできるが東京大会を最後に頑張っている選手も多いのが気がかりだ」と話していました。

そして東京パラリンピック本番に向けて「1日1日をむだにせず、ベストを尽くして日々最高の準備をしたい。安全、安心な環境の中で最高のパフォーマンスを見せたい」と意気込んでいました。

スポーツクライミング野口「心の整理つかない」

スポーツクライミングの日本の第一人者で30歳の野口啓代選手は東京オリンピックで現役を引退することを公言しています。

野口選手は「オリンピックの延期という史上初の報道を受け、簡単には心の整理がつかないというのが正直なところです。しかし、ことし8月のオリンピックを集大成に位置づけていた私にとって、大好きな競技生活が1日でも長く過ごせることをポジティブにとらえています。今は、世界中が直面しているこの状況を1日でも早く乗り越えることを願うとともに、大会を盛り上げる1人になれるよう、あと1年を心身ともに成長する時間にしたい」とコメントしています。

スポーツクライミング楢崎「目指すものは変わらない」

男子で去年の世界選手権を制し金メダル候補の楢崎智亜選手は「正直、驚きました。しかし、いつ開催されても、自分の目指すものは変わりません。世界中のアスリートがフェアな状態で最高の東京オリンピックが開催されることを祈って、今の自分にできることを積み重ねていきたいと思います」とコメントしています。

空手「組手」植草「優勝をねらうことに変わりない」

新競技、空手の女子「組手」61キロを超えるクラスの代表に内定している植草歩選手は「オリンピックの優勝をねらうことに変わりはありません。オリンピックは自分の目標なので、変わりなく稽古するだけです。この1年の期間で、技のバリエーションを増やしていきたい」とコメントしています。

空手「組手」染谷「強く進化していけるよう頑張る」

空手の女子「組手」61キロ級の代表に内定している染谷真有美選手は「オリンピックが延期になったとしても自分にできるのは目の前のチャンスをつかむために死ぬ気で挑むだけ。強く進化していけるように頑張ります」とコメントしました。