新型コロナ感染拡大 技能実習生来日できず 農家に大きな影響

新型コロナ感染拡大 技能実習生来日できず 農家に大きな影響
新型コロナウイルスの感染が世界中に広がり、来日する外国人が大幅に減少する中、農業の現場が大きな影響を受けています。
このうち群馬県昭和村は、村の主要産業が農業で、就農人口は全人口の5人に1人、およそ1300人に上ります。

地元のJAによりますと、去年は昭和村と隣の町で合わせておよそ140人の技能実習生を受け入れました。

多くの実習生は収穫がピークを迎える今の時期に来日しますが、今月新たに来る予定だった中国人技能実習生116人が入国制限の対象となり、全員来日できなくなってしまいました。

およそ5ヘクタールの農地でほうれんそうなどを生産している臼木英幸さんも、今月10日から新たに3人の中国人実習生を受け入れる予定でしたが、見通しが立たなくなっています。

ほうれんそうは、葉を傷つけないように1束ずつ丁寧に収穫しなければならず、長時間、中腰の同じ態勢で収穫を続ける重労働です。

臼木さんは少子高齢化が進む中、跡継ぎ不足などで使われなくなった農地を借り上げ、野菜の生産規模を拡大。これに合わせて年々、受け入れる技能実習生は増え、今では毎年5人受け入れています。

来月からほうれんそうの収穫が始まりますが、3人が来られない状態が続けば、妻と両親、それに今いる2人の実習生だけで作業に当たらなければならず、収穫できる量は例年の半分ほどにとどまるおそれもあるということです。

臼木さんは「ほうれんそうはひとつひとつ手作業で収穫するため、特に人の手が必要な野菜です。たくさん種をまいてたくさん収穫したいのはやまやまですが、人手が足りず、むだになってしまう可能性もあるので、ことしは量を減らすことにしました。農家としては大きな痛手です」と話していました。

JA利根沼田の角田昭雄課長は「農家の皆さんからは入国できるのか、できないのか、できるのならいつになるのかといった見通しを知りたいという声が届けられています。実習生の状況に作業計画が大きく左右されるので、早く沈静化して来日できるようになってほしい」と話していました。

外国人労働者 年々増加も

厚生労働省によりますと、日本で働く外国人は年々増加していて、去年10月末の時点では165万8000人余りと、これまでで最も多くなっています。

このうち技能実習生は38万3000人余りと、全体の23%を占め、平成23年にはおよそ13万人だったのが、この9年間で3倍近くに増え、こちらも過去最高となっています。

外国人技能実習機構によりますと、職種別では平成30年度、建設、食品製造、機械・金属がそれぞれ18%で、次いで農業が10%となっています。

また、農林水産省によりますと、農業の現場で受け入れている実習生は、昨年10月の時点でおよそ3万2000人と5年前に比べて2倍近くになっています。

今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受けた入国制限によって、技能実習生のうちこれまでに少なくともおよそ1000人が来日できなくなっているということです。