五輪・パラ延期の場合… 選手の代表選考は?経費は?課題山積

五輪・パラ延期の場合… 選手の代表選考は?経費は?課題山積
東京オリンピック・パラリンピックの延期を含めた検討が始まったものの、延期にはいくつもの難しい課題があります。どの時期になっても共通する課題が、新型コロナウイルスの感染拡大の収束、施設や人材の確保、チケットの取り扱い、大会経費、それに選手の代表選考です。

選手の代表選考は?

年内の延期で影響が大きいのが、新型コロナウイルスの感染拡大の収束と、選手の代表選考です。

世界各国で感染者数が増加し続ける中、夏から秋に延期しても治療方法が確立するかは不透明です。

数か月の延期で、相次ぐ予選大会の延期や中止の影響を改善できるのか、海外選手から「練習ができる選手とできない選手の間に大きな不公平感が出る」という声に応えるだけの環境を整えられるのか、時間との闘いとなります。

他大会との調整は?

来年夏に延期した場合、問題となるのが、世界的なスポーツ大会との競合です。

来年夏には、サッカーのヨーロッパ選手権、水泳の世界選手権、そして陸上の世界選手権など、オリンピックの人気競技の国際大会がめじろ押しです。

また、43の競技会場をはじめ、メディアの取材拠点となる「東京ビッグサイト」など、すでに準備が進んでいる施設をこの時期に再び利用できるよう確保し直す必要があります。

大会後は、マンションが整備される東京 晴海の選手村も一部ですでに販売が始まっていて、早ければ2023年の春に始まる入居時期に遅れが生じることも懸念されています。

さらに、8万人が採用された大会ボランティアは、大学生4年生が新社会人となって参加が難しくなる可能性もあり、募集をし直すのかなど再検討が必要です。

2年延期でも課題は山積

2年先の再来年の夏に延期した場合、大きな問題となりそうなのが大会経費です。

大会時は、8000人にのぼる組織委員会の職員も、大会終了後のことし、10月から段階的に削減していく予定だったことから、人件費の増加も懸念されます。

組織委員会は、東京大会の経費について、組織委員会と東京都、それに政府を含めた総額を1兆3500億円としていて、これとは別枠で組織委員会が不測の事態に備えて270億円の「予備費」を計上していますが、こうした予定している支出を上回る可能性があります。

東京大会を招致する際の立候補ファイルには、「組織委員会が資金不足に陥った場合は都が補填し、都が補填しきれなかった場合には最終的に国が補填する」ことが明記されていて、新たな費用負担にどう対応するかが課題となります。

さらに、代表選手への影響も懸念されます。

選手たちは、ことしの夏にピークを持ってこようと準備してきましたが、2年という時期は長く、すでに内定している選手の扱いを含めて代表選考の在り方が議論になりそうです。

どうなるチケット?

いずれの時期でも忘れてならないのが、チケットの取り扱いです。

オリンピックだけですでに約448万枚、全国の学校や子どもたちを対象にした「学校連携観戦チケット」も含めると約508万枚が購入されていて、延期になる時期にかかわらず、払い戻しになるのかは不透明です。