首相「経済がV字回復できる政策を」 集中ヒアリング開始

首相「経済がV字回復できる政策を」 集中ヒアリング開始
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた追加の経済対策の検討に向けて、安倍総理大臣と関係閣僚らが、業界の関係者などから意見を聴く「集中ヒアリング」が19日から始まりました。安倍総理大臣は、「日本経済がV字回復できるよう思い切った経済政策を進めていきたい」と述べ、現場の声を踏まえて、具体策の検討を進める考えを示しました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府は、追加の経済対策を検討するため安倍総理大臣と関係閣僚らが、業界の関係者や有識者などから意見を聴く「集中ヒアリング」を行うことになり、初回の19日は、フリーランスで働く人や個人事業主、それに、就職活動中の学生らが出席しました。

冒頭、安倍総理大臣は、「何としても雇用は守り抜かなければならず個人や中小・小規模事業者の皆さんが事業を継続できるよう支援を徹底的に行っていきたい。今の段階では、感染の拡大防止に全力を尽くしているが、その先には、しっかりと日本経済がV字回復できるよう、さまざまな思い切った経済政策を進めていきたい」と述べ、現場の声を踏まえて、具体策の検討を進める考えを示しました。

出席者からは、「個人に対する貸し付け制度の上限額を引き上げてもらいたい」とか、「地域活性化のイベントを政府が主催するなど支援してもらいたい」といった要望が出されました。

また、観光業への就職を希望する大学生は、「説明会なども中止され、企業への理解が深まらないまま就職活動をせざるを得ず、求人が減らないかも不安だ」と訴えました。

最後に、安倍総理大臣は「要望には柔軟に対応したい。政府の取り組みが十分に伝わっていないので、しっかり説明していきたい」と述べました。

「集中ヒアリング」は、来週にかけて、合わせて7回程度、開かれる予定で、観光業や飲食業、それにイベント関連など影響が大きいとされる業界の関係者に加え、経済の専門家などから意見を聴くことにしています。

個人事業主の女性「貸付を増額してもらいたい」

大阪市で生花店と音楽スクールを経営している小林奈美さんは、ヒアリングのあと記者団に対し、「レッスンが中止になったり、卒業式や結婚式が中止や延期になったりして大きな打撃を受けている。安倍総理大臣には、個人事業主に対する貸付を増額してもらいたいとお願いした。安倍総理大臣は、『情報を分かりやすく発信していきたい』と言っていた」と話していました。

移動販売の男性「終息後にイベント開催を国が支援を」

イベント会場などで食べ物などの移動販売を行っている中野敏行さんは、「イベント自体がなくなったので数千万円の売り上げがなくなったが、融資の形だと、いつ返金できるか分からないので不安を持っている。終息した後に、イベントの開催を国が支援してくれると助かるという話をして、『どんどん検討していきます』と答えてもらった」と話していました。

タクシー運転手の男性「子どもに関する手当ても前倒しを」

東京都内に住む50代のタクシー運転手の男性は、記者団に対し、「子どもが休校になっているのでパートで働く妻とやりくりしなければならず、とにかく大変だと訴えた。ギリギリの売り上げの中で生活する運転手がいることも伝えた。政府には、子どもに関する手当を前倒しして支給するようお願いした」と話していました。

習字教室経営の男性「現状の補償では生活が成り立たない」

さいたま市で習字教室を開いている佐藤磨季さんは記者団に対し、「学校の休校に伴い、習字教室も3月いっぱいはすべて休まざるをえない状況だが、テナントの家賃や光熱費は発生するので、収入が減るというより、むしろマイナスで本当に困っている。現状の補償では、生活が成り立たないということを伝え、安倍総理大臣からは、『精いっぱいやっていく』と言ってもらった」と話していました。