京都市の簡易宿泊所に深刻な打撃 新型コロナウイルス

京都市の簡易宿泊所に深刻な打撃 新型コロナウイルス
新型コロナウイルスの感染拡大で観光客が減る中、京都市内のゲストハウスなどの簡易宿泊所の中には、廃業を決めた施設が出るなど、深刻な打撃を受けている実態が業界団体が行った調査でわかりました。
ゲストハウスや民宿など、小規模な宿泊施設が加盟する「京都簡易宿所連盟」では、今月10日から16日にかけて、新型コロナウイルスの影響について緊急調査を行い、70の事業者から回答を得ました。

それによりますと、3つの施設が廃業を決めたほか「廃業を検討中」もしくは、このままの状況が続いた場合「廃業を検討する可能性がある」と回答した施設は合わせて34.3%に上りました。

また、事業の転換を決めたり、検討したりしていると回答した施設も18.6%に上る一方、宿泊事業を「継続する」と答えた施設は、半数以下のおよそ43%となっています。

今月の売り上げについては、およそ6割の施設が、去年と比べて60%以上の減収になる見込みだと回答しました。

京都市内では、外国人観光客の増加を背景に、簡易宿泊所はこの5年で急増し、ことし1月時点でおよそ3300施設に上っていますが、深刻な打撃を受けている実態が浮き彫りになりました。

京都簡易宿所連盟のルバキュエール裕紀副代表は、「壊滅的な打撃を受けており、返済が不要な支援金や宿泊税の一時停止など、速やかな対策を講じてほしい」と話しています。

「先は見えない」ネットで資金募る宿も

京都市内の簡易宿泊所では、急激な宿泊客の減少を乗り切ろうと、インターネットで資金を調達をしたり、格安の宿泊プランを提供したりするなど、さまざまな取り組みが始まっています。

このうち、京都市上京区で町屋を改装して9年前にオープンしたゲストハウスでは、今月5日からインターネットのクラウドファンディングを使って支援金を募っています。

3000円以上支援した人は、5年後まで使える宿泊の招待券をもらえるということで、これまでにおよそ72万円集まったということです。

このゲストハウスでは、先月の売り上げは、去年の同じ月と比べて8割余り減り、現在は宿泊料金をおよそ30%値下げしていますが、それでも新規の宿泊客はほとんど来ないということです。

「京町屋ゲストハウスまくや」の岡野光郎オーナーは「先が見えずに非常に苦しいですが、できることはなんでもして、なんとか前を向いていこうと思っています」と話していました。