受け入れ可能な患者数など 病院間で情報共有へ 名古屋

受け入れ可能な患者数など 病院間で情報共有へ 名古屋
新型コロナウイルスの感染拡大が続く名古屋市では、感染した患者を受け入れる病院の調整が難しくなっていることから、市内の病院で受け入れ可能な患者の数などの情報を共有するシステムを、急きょ、立ち上げました。
このシステムは、名古屋市が市内にある21の病院の間で、新型コロナウイルスの患者の情報を共有するために16日から急きょ、運用を始めたものです。

システムでは、患者の状態を人工心肺が必要な「重篤」や人工呼吸器が必要な「重症」、それに「軽症」などに分け、現在の入院している患者数や今後の受け入れが可能な患者数などの情報をそれぞれの病院が毎日入力し、全体で共有することができます。

名古屋市では感染の拡大に伴ってどこの病院で患者を受け入れるかの調整が難しくなっていて、市は、このシステムを使って重い症状の患者をより医療体制が整った病院に転院させるなど、市全体で病院の役割分担を進めたい考えです。

また、市内の患者の半数は愛知県内のほかの自治体にある病院に入院していることから、県にもシステムへの参加を呼びかけるということです。

名古屋市健康福祉局の浅井清文医監は「全体像がわかれば、どのくらいの重症度の患者をどれくらい自分たちが担えばよいかわかるようになる。病院の機能分化を進め、医療資源をうまく活用できるようにしたい」と話しています。

東部医療センター「病院間で情報共有し対策をとる必要ある」

感染症の指定医療機関になっている、名古屋市千種区にある東部医療センターでは、新型コロナウイルスの患者を受け入れています。

東部医療センターの村上信五病院長によりますと、病院には感染症専用の病床が10ありますが、すでにほぼ満床になっているということで、新型コロナウイルスの感染者が増えた場合には、ほかの病気のための病床を転用することを検討するということです。

ただ、さらに患者が増えた際には症状の軽い人は自宅などで待機してもらう必要が出てくるとしています。

そのうえで村上病院長は「愛知県全体でどの病院で患者が治療を受けているのかといった情報が把握しにくい状態だ。病院間で情報を共有し、共通の認識を持って対策をとる必要がある」と話し、病院間の連携が重要だと指摘しました。

専門家「重症度に応じ受け入れ先を」

病院間の情報共有について、感染症治療の専門家は「患者がどこに何人入院し、重症度がどうなのか、病院間で全体状況がわからないと特定の病院に多くの患者が集中したり、集中治療に高い機能をもつ病院が軽症の患者の対応に追われてしまったりすることが起こりうる。重症度に応じて機能別に受け入れ先を決めていくための体制の整備を県や市が主導して行ってもらいたい」と話しています。