新型ウイルス 東京五輪・パラ代表選考にも影響 7割近い競技で

新型ウイルス 東京五輪・パラ代表選考にも影響 7割近い競技で
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて東京オリンピック・パラリンピックの代表選考に関わる大会の中止や延期が相次いでいて、東京大会で行われる55競技のうち、合わせて67%にあたる37の競技で、日本選手の選考に影響が出ていることがNHKの取材で分かりました。
NHKは新型コロナウイルスの感染拡大によってオリンピックの33競技、パラリンピックの22競技の日本選手の代表選考にどのような影響が出ているのか、競技団体などに取材してまとめました。

その結果、オリンピックは24競技、パラリンピックは13競技、全体では67%にあたる合わせて37競技で出場枠の獲得や選手の選考が進まないなどの影響が出ていることが分かりました。

このうちオリンピックの複数の種目で金メダル獲得が期待されるバドミントンは、女子ダブルスで2つの枠をめぐって3つのペアが激しく争うなど代表選考が大詰めを迎えていて来月30日付けの世界ランキングに基づいて代表が選ばれる予定でした。

ところが国際大会の中止が相次ぎ、ランキングに反映されるポイントを加算する機会が減ったため、国際競技団体が選考方法を改めて発表する事態になっています。

またレスリングは今月予定されていたアジア予選が中止となり、世界予選も6月に延期されたため、男女合わせて18階級のうち日本は10の階級で出場枠の獲得が見通せない状態になっています。

さらにパラリンピックのボートは韓国やイタリアで予定されていた予選大会が中止となり、日本が出場枠を獲得する見通しが立たなくなっています。

東京大会の開幕まで4か月余りとなる中、オリンピックでおよそ600人と見込まれる代表選手のうちこれまでに内定しているのは100人余りにとどまっています。

今回の調査からは代表選考が本格化するこの時期に大会の主役となる選手に深刻な影響が及んでいることが浮き彫りになりました。

IOC 開催努力と公平な選考を

IOC=国際オリンピック委員会は大会の開催に向け全力を注ぐ姿勢を維持し、中止や延期が相次いでいる予選大会など代表選考にかかわる問題には救済措置を検討するなど柔軟に対応する方針を示しています。

IOCのバッハ会長はWHO=世界保健機関が「パンデミックと言える」と述べ、世界的な大流行という認識を示したあとの12日、ギリシャで行われた聖火の採火式の際、「東京オリンピックの成功に向けて全力を傾けている」と述べ、大会の開催に向け努力を続ける姿勢を強調しました。

一方、世界各地でオリンピックの予選大会に中止や延期が相次ぐなど代表選考への影響には「今後数週間、あるいは数か月間にわたって、より柔軟に対応していかなければならない。公平な予選のシステムと環境をすべての選手に届けるためベストを尽くす」と話し、救済措置を検討するなど柔軟に対応する方針を示しています。

IOCは大会の組織委員会や東京都、日本政府それにWHOなどと特別作業チームを作って対応に当たっていて、17日には電話会議の形式で臨時の理事会を開いたあと、夏のオリンピック競技の国際競技団体のトップを集めた緊急の電話会議で代表選考への対応策などを話し合うとみられます。

その後、各国や地域のオリンピック委員会や選手などで作る各オリンピック委員会の中にあるアスリート委員会などとの電話会議を行い情報の共有を図る考えです。

IPC 選手への影響の軽減策検討

IPC=国際パラリンピック委員会は選手への影響を軽減する対策を検討しています。

IPCの発表によりますと大会中止の影響を受ける競技は、すべて国際競技団体が東京パラリンピックの出場枠の基準の見直しや大会を改めて開催するなどの対応を検討しているとしています。

また国際大会に合わせて行われる選手の障害の程度を見極めるクラス分けにも支障が出ているとして、東京パラリンピック出場のためにクラス分けを受ける必要がある選手の数などを調べています。

さらにすべての国際競技団体に対してクラス分けが行われる大会には東京パラリンピックに出場する予定の選手を優先させることや、今後の大会で追加のクラス分けを行えないか検討することを求めています。