日銀 黒田総裁「影響は今後も当面続くと予想」

日銀 黒田総裁「影響は今後も当面続くと予想」
日銀の黒田総裁は記者会見で、金融政策決定会合を前倒しで開催したことについて「新型コロナウイルスの感染拡大によって世界経済の不透明感は急速に高まり、金融市場は不安定化している。年度末を控えて企業金融の円滑化や金融市場の安定に万全を期すため、必要な措置を早急に判断する必要があると考えた」と述べました。
さらに「感染症は世界的に拡大して、世界経済全体に影響している。G7=主要7か国の声明でも協力を進めていくとしていてきょうの対応も主要国の協調の枠組みの中で行った」と述べ、アメリカが緊急の利下げに踏み切ったことなどを踏まえ各国との協調姿勢を明確にするため会合を前倒ししたことを明らかにしました。
感染拡大による景気の影響については「すでに企業の輸出が中国向けを中心に減少しているほか、イベントや外出の自粛によってサービス業を中心に消費活動は大きく落ち込んでいる。影響は今後も当面続くと予想している」と述べました。

また、世界経済がいわゆるリーマンショック並みの落ち込みになるおそれはないかという記者の質問に「それぞれの地域で感染拡大が収束すれば、景気は回復はしていくだろう。現時点ではリーマンショックの時のような実体経済の落ち込みにはならないと認識している」という考えを示しました。

ただ黒田総裁は、感染は中国などで収束に向かいつつあるもののアメリカやヨーロッパでいま加速度的に感染が拡大し、世界各国で状況が違うことを指摘し、「世界経済全体でみれば、一定期間の低成長が続くおそれがあり、V字型の回復になるとは言いがたい」と述べ、先行きについて慎重な見方を示しました。