「スポーツ自粛求めない」バドミントン全英OP通常どおり開催

「スポーツ自粛求めない」バドミントン全英OP通常どおり開催
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、バドミントンの全英オープンは「スポーツ大会の自粛は求めない」とするイギリス政府の方針に基づいて、初日から観客を入れての通常どおりの開催を続けています。
新型コロナウイルスはヨーロッパでも感染が急速に広がり、イギリスでは14日までに1140人の感染が確認され、21人が亡くなっています。

こうした中、バーミンガムで開催されているバドミントンの全英オープンは、今月11日の大会初日から会場に消毒液を設置したり清掃にかける人員を増やしたりするなど感染防止の対策を行ったうえで、観客を入れた通常どおりの開催を続けています。

ドイツやポーランドなどで予定されていたバドミントンの国際大会は相次いで中止や延期となった中で、通常開始に踏み切った背景には、イギリス政府が今後の国内での感染拡大と対策の長期化を見越したうえで「初期の段階での過度の対策は今後の社会の疲弊につながる」としてスポーツ大会の自粛を求めない方針を表明したことがあります。

イギリスバドミントン協会のエイドリアン・クリスティ大会責任者は「健康が最優先なのは言うまでもない。そのうえで、政府からはスポーツ大会はそれほどのリスクではないと助言を受けている」と開催の理由を説明しました。そして「毎日通勤で混雑した電車やバスに乗車し、バーやホテル、レストランにも行く。スポーツはその一部にすぎない」と話し、通常開催に理解を求めました。

ふだんであれば試合後に対戦相手の選手や審判と握手を交わすところを、直接の接触を避けるため両手を合わせて頭を下げるアジア風の「おじぎ」を行って相手に敬意を示すなど選手サイドから独自の対策も生まれています。

また、日本選手やスタッフは毎朝、全員が体温を測定しているほか、手洗いやうがいを徹底するために会場にうがい薬やハンドソープを持参するなど予防に取り組んでいます。

大会の責任者は「大会で感染者が出れば中断はためらわない」と話し、毎日保健当局と開催の継続を行うべきか検討を続けているとしていて、これまでのところ大会を通して3万人に及ぶと見込まれる観客を含め感染の報告などはなく、大会は15日の最終日も観客を入れて各種目の決勝が行われる予定です。

選手からは試合ができることへの感謝の声

今大会はオリンピックの代表選考に大きく関わるため、選手たちからは試合ができることに対する感謝の声が多く聞かれています。

今大会で東京オリンピックの代表入りを確実にした女子シングルスの山口茜選手は「バドミントンの練習や試合ができることが当たり前ではないのだと認識した。いろいろな方のサポートがあって試合ができるので、精いっぱいのプレ-をしたい」と話しました。

また、男子ダブルス世界4位の嘉村健士選手は大会の初戦を終えたあと「コロナの影響で試合中止がある中で、自分たちはこのように試合ができるていることはすごく幸せなことだ」とかみしめて話していました。

リオデジャネイロオリンピックの女子シングルスで銀メダルのインドのブイシンデュ・プサルラ選手は「感染はどこにでも広がっているから自分の身は自分で守らなくてはいけない。みずから気をつけることが最も大事です。手を清潔に保って握手をしないようにして、人が集まっているところを避け体調が悪いならばマスクもすべきです」と話して感染予防を強く意識していました。

医療チームが待機

バドミントンの全英オープンは、5日間の開催期間中に合わせて3万人の動員を見込んでいることから、大会の主催者は新型コロナウイルスの感染防止のための対策を取っています。

施設の入り口には消毒液が設置され、入場した観客が列をつくり手を消毒している姿が見られたほか、清掃員の数を増やしてトイレの蛇口など多くの人の手に触れる場所を重点的に拭き上げ清潔に保つようにしています。

また、会場の入り口には係員を配置して、体調がすぐれない人がいないかどうかを目視で確認していて、体調不良の人がいた場合は会場に入れず別室に誘導する措置をとっています。

このほか、会場内には隔離措置がとれる部屋を準備しているほか、近くのホテルに専門の医療チームを待機させているということです。

施設内には観客や選手などに衛生の徹底をはかるよう呼びかける掲示も行われ、くしゃみやせきに使ったティッシュはすぐに捨てるよう促すなど細かな注意点が書かれています。

「まだ深刻でないから開催できる」の声も

会場を訪れた男性は「新型コロナウイルスの感染が広がってとにかく多くの人が手を洗うようになりました。政府の話を聞いて、感染を広げることがないように気をつけています。大会がまだ開かれていることには感謝しています。一人ひとりが何をすべきか考えるべきです。そうすれば大会は中止にはならないでしょう。それは手を洗うという単純なことなんです」と話しました。

また、マスクをつけて観戦に訪れた女性は「今後の数週間でスポーツの大会はもっと中止が広がるだろうが、今はまだそれほど深刻ではないから開催ができている」と話しました。