デイサービスなど高齢者が通う介護施設で集団感染相次ぐ

デイサービスなど高齢者が通う介護施設で集団感染相次ぐ
デイサービスなど高齢者が通う介護施設で、新型コロナウイルスの感染が相次いでいます。閉鎖する施設も出ていて、高齢者の介護をどう維持していくかが課題となっています。
デイサービスなど、通所型の介護施設では利用者や職員などが新型コロナウイルスに感染するケースが相次いでいて、これまでに少なくとも愛知、兵庫、千葉の3か所で感染者の集団が発生しています。

このうち名古屋市では、今月初めから市内のデイサービスの利用者や職員、それに周囲の人などで感染が相次いで確認され、愛知県は11日、「クラスター」と呼ばれる感染者の集団が40人以上に上っていると公表しました。

また、兵庫県伊丹市のデイケア事業所では、11日までに利用者5人と介護士1人の合わせて6人の感染が確認され、このうちの1人の利用者の男性が10日、死亡しました。

このほか千葉県市川市のデイサービスでも11日の時点で、利用者や職員、それに家族の合わせて6人の感染が明らかになっています。

厚生労働省は、通所や短期入所型の施設で感染の拡大を防ぐため、自治体が必要と判断した場合は、感染者が確認された施設に限らず休業を要請できるとしていて、名古屋市は、市内126のデイサービスに、今月7日から2週間の休業を要請したほか、市川市も今後の感染の広がりに応じて利用者の受け入れを縮小するよう要請するとしています。

一方で、施設が閉鎖されると十分な介護サービスを受けられなくなる高齢者が出てくるおそれもあります。

このため厚生労働省は、休業したり、受け入れを縮小したりした施設では、職員が代わりに利用者の自宅を訪問して介護サービスを行えるようにしています。

専門家「休業続くと 介護難民や介護離職のおそれも」

介護問題に詳しい淑徳大学の結城康博教授は「老老介護や、1人暮らしの高齢者が増えるなか、デイサービスは在宅介護の要であり、デイサービスの休業が続くと介護難民となりかねない。また、家族がいる人にとっても、休業が長引くと負担が増えて介護離職などにつながるおそれがある」と指摘しました。

そのうえで「デイサービスと訪問介護は必要なスキルも異なり、デイサービスの職員が自宅を訪問する施策だけでは対応が難しいのではないか。今後、全国のデイサービスで感染が広がる可能性もあり、国や自治体は休業する事態を想定して、一刻も早く、さらなる対応策を打ち出すべきだ」と話しています。