イタリア 感染者が1万人超える 新型コロナウイルス

イタリア 感染者が1万人超える 新型コロナウイルス
新型コロナウイルスの感染が急速に広がるイタリアでは、政府が全土で不要不急の外出を控えるよう求める措置を打ち出しました。しかし、感染者は10日も1000人近く増えて1万人を超え、新たな対策が感染の封じ込めにつながるか注目されます。
イタリア政府は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためとして10日から来月3日まで全土で不要不急の外出を控えるよう求めたほか、屋外の集まりを禁止する措置に踏み切りました。

首都ローマでは人通りや交通量が大幅に減ったほか、ふだんは観光客でにぎわうバチカンのサンピエトロ広場が閉鎖されるなど街は一変しています。

こうした中、イタリア政府は10日、新型コロナウイルスの感染者が新たに977人増えて1万149人になり1万人を超えたことを明らかにしました。

また、亡くなった人は168人増えて631人に上ったとしています。

感染症予防に当たっている国立衛生研究所のブルザフェッロ所長は、NHKの取材に対し、北部では感染が広がっているものの南部での感染は限定的だとしたうえで「今、取られている対策はほかの地域に感染が広がらないようにするためだ」と強調しました。

政府が打ちだした新たな対策で、感染を封じ込めることができるか注目されます。

隣国オーストリア イタリアからの入国禁止

イタリアで新型コロナウイルスの感染が拡大する中、イタリアと国境を接している隣国オーストリアでも10日、感染者が前日より50人以上増えて182人となるなど、広がりをみせています。

こうした中、クルツ首相は10日、記者会見を開き、イタリアからの人の入国を停止する措置を取ると明らかにしました。

イタリアからの航空と鉄道の旅客便を止めるほか、陸路で国境を通過する車両については、オーストリア国内で途中下車しないことを確認できれば、通行を認めるということです。

また、オーストリア国内では来週16日から大学が休校になり、企業に対してもテレワークを推奨するとしています。

さらに、オーストリア国内の100人を超える屋内の行事も中止にするということです。

これを受けて、ウィーンの国立歌劇場は今月31日までオペラやバレエなどすべての公演をキャンセルすると発表したほか、ウィーン少年合唱団も29日まで公演を中止するということで、観光への影響も広がっています。

ヨーロッパ各国で感染拡大歯止めかからず

ヨーロッパでは、イタリアに続き、フランスやスペインでも新型コロナウイルスの感染の拡大に歯止めがかからない状況です。

このうちフランスでは、10日、新たに北部と南部の2つの町で集団感染が見つかり、感染者の数はこれまでに1784人とイタリアに次いで多く、死者も33人に上っています。

また隣国のスペインでは、感染者が前の日に比べて400人以上増えて1639人となり、死者も36人となっています。

特に首都があるマドリード州で感染者が急増していて、スペイン政府は州内のすべての学校を11日から休校にしたほか、国内で行われるスポーツの試合は、すべて観客を入れないで行うことを決めました。

さらに議会では議員1人の感染が確認されたことから、上下両院とも今後1週間は議事を行わないことにしています。

ほかにもドイツで感染者が1000人を超えるなどヨーロッパでは感染の拡大に歯止めがかかっていません。