サウジアラビア 来月の原油供給量を最大に

新型コロナウイルスの影響による原油需要の落ち込みに歯止めをかけようとした産油国の協議が決裂したことを受け、サウジアラビアの国営石油会社は来月の原油の供給量を日量1230万バレルと最大限まで引き上げることを明らかにし、ほかの産油国からシェアを奪う「価格戦争」をエスカレートさせる姿勢を鮮明にした形です。
新型コロナウイルスの影響による中国を中心とした経済活動の停滞で、原油の需要の落ち込みが見込まれる中、サウジアラビア主導のOPEC=石油輸出国機構とロシアなど非加盟の産油国が先週、価格の下支えを目指して協議しましたが決裂しました。

この結果、3年前から続いてきた各国の協調減産の体制が崩れ、サウジアラビアなど産油国が増産に踏み切るとの見方が広まり、週明けの国際的な原油価格は記録的な落ち込みになりました。

こうした中、サウジアラビアの国営石油会社「サウジアラムコ」は10日、来月の原油の供給量を、日量1230万バレルと最大限まで引き上げることを明らかにしました。

先月と比べると、世界の原油需要の2%に当たる日量200万バレル以上供給が増える見通しで、ほかの産油国からシェアを奪う「価格戦争」をエスカレートさせる姿勢を鮮明にした形です。

原油価格の低迷は、石油依存が続くサウジアラビアの財政や国内経済の打撃になり、地域の不安定要因になりかねないとの指摘も出ています。

ロシア 価格競争に対抗する姿勢

ロシアのノバク・エネルギー相は10日、「われわれは世界で最も安く石油を生産できる国の1つで競争力がある」と述べ、価格競争に対抗する姿勢を改めて示しました。

そのうえで、増産の量として短期的には1日当たり20万から30万バレル、中長期的には最大で1日当たり50万バレルという具体的な数値を示し、4%を超える増産が可能という見方を示しました。

ノバク・エネルギー相は原油価格の回復には数か月かかると指摘する一方、「将来、ほかの産油国と協力する準備がある」と述べ、市場の動向を見極めたうえで協調減産の体制に戻ることも検討する考えを示しています。