春闘 新型ウイルス感染拡大で企業によっては厳しい回答も

春闘 新型ウイルス感染拡大で企業によっては厳しい回答も
春闘は11日集中回答日を迎え、大手企業の経営側から労働組合に対して一斉に回答が示されます。新型コロナウイルスの感染拡大で景気の先行きに対する不透明感が一段と増す中、鉄鋼大手がベースアップに相当する賃金の改善を見送るなど、企業によっては厳しい回答を示すところも出る見通しです。
このうち鉄鋼業界では最大手の日本製鉄がベースアップに相当する賃金改善を、7年ぶりに見送ることで決着しました。

労働組合側は2021年度までの2年間で合わせて6000円の賃金改善を求めていましたが、経営側は鉄鋼需要の低迷で「経営状況はかつてなく厳しい」として慎重な姿勢を崩しませんでした。

自動車業界ではトヨタ自動車の組合がベアや定期昇給などを含めた賃上げの総額として1人当たり月額1万100円の引き上げを求め、ギリギリの交渉を続けているほか、日産自動車では厳しい業績を踏まえて、ベアなどを含めた総額の妥結額が去年の水準を下回るとみられます。

一方、電機業界は、ベアに相当する賃上げについて月額1000円以上とする案をもとに各社の労使が詰めの交渉を続けていて、このうち東芝は月額1000円に加えて、社員教育を充実させる内容で妥結する方向です。

ことしの春闘は賃上げの勢いが維持できるかどうかが焦点の一つとなっていますが、新型コロナウイルスの感染拡大で景気の先行きに対する不透明感が一段と増す中、企業によっては厳しい回答を示すところも出る見通しです。