第2弾の緊急対応策 資金繰り支援策の詳細は

第2弾の緊急対応策 資金繰り支援策の詳細は
政府は、第2弾の緊急対応策として、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で業績が悪化している中小企業などの資金繰りを支援するため、融資や保証の枠を現在の5000億円から合わせて1兆6000億円規模に拡大します。

無利子融資制度

第1弾の緊急対応策では中小企業に対して、日本政策金融公庫などを通じた資金繰り支援として緊急の貸付と保証の枠を5000億円規模で用意しました。

第2弾ではこれに加えて実質的に無利子・無担保で融資を受けられる特別の貸付制度を設けるため、新たに5000億円規模の融資枠を確保します。

具体的には
▼売り上げが5%以上減少した中小企業やフリーランスを含む個人事業主を対象に金利を一律0.9%引き下げ、今後3年間は0%台の金利で融資を受けられるようにします。

そのうえで、
▼売り上げが15%から20%減少するなど、より厳しい経営状況の企業には利子にあたる金額を国が補填(ほてん)し信用力や担保にかかわらず、実質的に無利子で借りられるようにします。

利子が補填される融資の上限額は、
▽中小企業が1億円、
▽小規模事業者などが3000万円となっています。

すでに日本政策金融公庫などから第1弾の対応策で緊急の貸し付けを受けている企業も、ことし1月29日の申請分までさかのぼって新たな制度の対象となります。

“危機関連保証”を初実施

各地の信用保証協会が、中小企業の資金繰りを保証する制度も拡充されます。

第1弾の対応策では、
▼売り上げなどが20%以上減少した企業を対象に、通常とは別枠で2億8000万円を上限に、借入金の100%を保証する「セーフティネット保証4号」、
▼売り上げなどが5%以上減少した企業を対象に、借入金の80%を保証する「セーフティネット保証5号」という制度を拡充しました。

今回、初めて実施する「危機関連保証」という仕組みでは、第1弾とはさらに別枠で、売り上げが15%以上減少した中小企業などに対して、地域や業種を問わず、2億8000万円を上限に借入金を100%保証します。

“危機対応融資”を適用へ

このほか、大企業や中堅企業を含めた支援策として、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響について、「危機認定」を行い、「危機対応融資」という特別な融資制度を適用します。

政府系金融機関の日本政策投資銀行と商工中金が、国の資金の拠出を受けて、当面の運転資金などを融資します。

全体で2040億円の融資枠を設けますが、個別の企業への融資額に上限はありません。

この制度は、2008年のリーマンショックを受けてつくられ、経済環境の大きな変化や大規模な災害などで、民間の金融機関による資金供給が十分になされない場合に実施されます。

一般の金融機関から借りるのが難しいケースや多額の資金が必要なケースなどに融資を受けられるメリットがあります。

サプライチェーン確保への支援

さらに、日本企業の海外事業や、部品などの供給網、いわゆる「サプライチェーン」の確保を支援するため、最大5000億円規模の資金需要に対して国際協力銀行が2500億円の融資枠を設けます。

総額は第1弾の3倍程度

こうした融資や保証の枠をすべて合わせると1兆6000億円規模となり、5000億円だった第1弾の3倍程度に拡大します。

経団連 中西会長は…

政府の第2弾の緊急対応策について、経団連の中西会長は記者団に対して「今回の対策は考えられることはすべてやろうという姿勢を政府が示したもので、経済界も対策をより有効にするために現場の状況をフィードバックすることが大事だと思う」と述べました。

また、中小企業の資金繰りなどの支援策が盛り込まれたことについて、中西会長は「経済界としてもやらねばならない。流通や建設などさまざまな業界で問題が出ており、日頃から下請けなどの課題を抱えているところは一度に仕事が止まることになりかねないので、ぜひ手を打っていこうということだ」と述べました。

予備費から2272億円支出

政府は第2弾の緊急対応策を実行するため、2019年度予算の一般会計の予備費から2272億円を支出することを持ち回りの閣議で決めました。

この結果、今年度予算の予備費の残額は447億円となります。

また、これと合わせて政府は、臨時休校に伴って仕事を休まざるを得なくなった保護者に対する助成金の一部として労働保険特別会計の今年度の予備費の全額、420億円を支出することを決めました。

西村経済再生担当大臣は記者会見で、第2弾の緊急対応策について「まずは感染拡大を抑えることが何よりも経済にプラスであり、ここがふんばりどころだ。1兆6000億円規模の資金繰り支援とあわせて、2兆円規模の対策を打ち、中小企業をしっかりサポートし、経済を下支えしていきたい」と述べました。