韓国便が到着 「待機要請」を説明 成田空港

韓国便が到着 「待機要請」を説明 成田空港
新型コロナウイルスの水際対策を強化するため中国と韓国からの入国者を対象にした待機要請が始まり、成田空港では午前8時すぎに韓国からの便が到着し、今回の要請についての説明などを受けていました。
政府が中国と韓国から入国した人に対し2週間、自宅などに待機して公共交通機関を使わないよう求める要請は9日午前0時から始まりました。

中国と韓国からの旅客機が到着する空港は2つに限定するよう航空会社への要請も行われ、このうち成田空港には午前8時すぎ、韓国・インチョン(仁川)からの便が到着しました。

この機体にはおよそ190の座席がありますが、成田空港検疫所によりますと搭乗していたのは8人だけで、防護服やゴーグルなどを身に着けた職員が順番に検疫を行いました。

職員は中国や韓国などでの滞在歴や日本での滞在先などを記すよう求める「質問票」と、健康状態を毎日チェックし、せきや発熱の症状が出たらすぐに帰国者・接触者相談センターに連絡したりするよう求める「健康カード」を手渡して待機要請への協力と理解を求めました。

この便には、日本での滞在先が決まっていなかったフランス人の旅行者もいて、検疫所の職員の求めに応じて急きょ電話でホテルなどの予約を行ったあと入国の手続きに向かっていました。

成田空港への到着客「従うしかない」

成田空港の到着ロビーは待機要請が始まる前の8日は、急きょ入国する人の姿が多く見られましたが、9日は一転して閑散としていました。

都内に住み、仕事で韓国を訪れていた25歳のアメリカ人の男性は「公共交通機関を使ってはいけないということなので、友達に車で迎えに来てもらいます。日本に来る人への対応に十分な準備が行われていないように感じ、失望しました。2週間、家にいるように言われたので従うしかありません。きょうから仕事でしたが、家で休むことにします」と話していました。

関西空港でも「待機要請」

関西空港では午前8時すぎに韓国・ソウルからの便で日本人2人と韓国人1人の合わせて3人が到着し、検疫所の職員から健康状態などの質問を受けたあと要請内容の書かれた文書を受け取っていました。

入国した人のうち、大阪市内の日本語学校で学ぶ韓国人の留学生の男性(27)は当初「公共交通機関を使う」と答えたため、検疫所の職員からやめるよう要請されていました。

空港には混乱を避けるため韓国の総領事館の職員が待機していて、公共交通機関に乗れなくなった男性を保護していました。

男性は「きのう飛行機に乗るつもりが乗り遅れてきょうになった。2週間ずっと部屋にいます」と話していました。

関西空港では新型コロナウイルスの影響で中国や韓国とを結ぶ便が相次いで運休となり、運航を続けている便はわずかとなっていて、到着ロビーなどは閑散としています。

帰国の大学生「バイトキャンセルし自宅に」

今月6日から韓国のソウルに旅行に出かけていたという2人組の大阪の女子大学生は9日午前8時すぎの便で関西空港に到着しました。

2人は8日夜のうちに帰国予定でしたが、ソウルの空港に向かう鉄道を乗り間違えて予定していた便に乗れず、急きょ9日朝の便で帰国したということで、「きのうのうちに帰ることができずパニックになりました」と話していました。

2人によりますと、関西空港の検疫所では2週間自宅で待機することや公共交通機関を利用しないよう要請を受けましたが、検温などは行われなかったということで「紙をもらっただけで、検査は考えていたよりは厳しくなかった」と話していました。

2人は公共交通機関を利用しないようとの要請を受けて急きょ家族に連絡し、自家用車で迎えに来てもらったということで「大学の春休み中はバイトや外出を予定していましたが、すべてキャンセルして自宅で安静にしていたいと思っています」と話していました。

現場で混乱も 対象外の人に待機要請

政府が中国と韓国からの入国した人に対して行う待機要請をめぐっては、現場で混乱も起きています。

旅行先のフランスのパリから香港を経由して9日午後に関西空港に到着した47歳の会社員の男性は、2週間自宅に待機し、公共交通機関を使わないよう検疫所から要請されたということです。

男性は「仕事はテレワークなので何とかなると思いますが、1人暮らしでスーパーに買い物などに行かないと暮らせないので、その点は少し困っています」と話していました。

しかし、男性は乗り継ぎのためにおよそ2時間、香港の空港のラウンジに滞在しただけで入国の手続きをしておらず、検疫所によりますと本来は要請の対象にはならないということです。

検疫所は、現場の職員の間での周知が進まず、結果的に誤った情報を伝えてしまった可能性があるとしています。