与野党党首会談始まる 新型ウイルス 法案成立へ協力呼びかけ

与野党党首会談始まる 新型ウイルス 法案成立へ協力呼びかけ
新型コロナウイルスへの対応をめぐり、安倍総理大臣は立憲民主党の枝野代表ら野党5党の党首らと個別に会談していて、さらなる感染拡大に備え、「緊急事態宣言」を可能にする法案の早期成立に協力を呼びかけています。
安倍総理大臣と野党5党の党首らとの会談は、午後6時ごろから、国会内で、公明党の山口代表や自民党の二階幹事長も同席して個別に行われています。

この中で安倍総理大臣は、新型コロナウイルスの感染がさらに拡大した場合に備え、総理大臣が「緊急事態宣言」を行い、自治体による外出の自粛や学校の休校などの要請や指示を可能にする法案の準備を急いでいることを説明しました。

そして、民主党政権の際に制定された新型インフルエンザ対策の特別措置法を改正し、新型コロナウイルスにも最長で2年間適用できるようにする方向で検討しているとして理解を求め、法案の早期成立への協力を呼びかけました。

これに対し、立憲民主党の枝野代表は、今の法律でも、新型コロナウイルスへの適用は可能だとして、改正の必要はなく迅速に対応すべきだと主張したものの、法案審議には協力する考えを伝えました。そのうえで、現状では緊急事態宣言の要件は満たしていないとして慎重に検討するよう求めました。

枝野代表によりますと、安倍総理大臣は「緊急事態宣言を出す際には事前に相談する。対象となる地域や期間も絞り込む」と述べたということです。

政府・与党は党首会談などで出された野党側の意見も踏まえながら法案の作成を進め、来週にも国会に提出して早期成立を図りたいとしています。

特措法改正案 行政に強い権限

改正案では新型インフルエンザ対策の特別措置法の対象に「新型コロナウイルス感染症」を指定感染症に指定されたことし2月1日から最長で2年間追加するとしています。

そして、新型コロナウイルスの全国的かつ急速なまん延により、国民生活や経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある場合などには、総理大臣が「緊急事態宣言」を行い、緊急的な措置を取る期間や区域を指定するとしています。

そのうえで対象地域の都道府県知事は、住民に対し、生活の維持に必要な場合を除いて、外出の自粛をはじめ、感染の防止に必要な協力を要請することができるとしています。

また、学校の休校や、百貨店や映画館など多くの人が集まる施設の使用制限などの要請や指示を行えるほか、特に必要がある場合は、臨時の医療施設を整備するために土地や建物を所有者の同意を得ずに使用できるなどとしています。

さらに、緊急の場合、運送事業者に対し医薬品や医療機器の配送の要請や指示ができるなどとしているほか、必要な場合は医薬品などの収用を行えるとしています。

改正案は、成立後、公布された翌日から施行されることになっています。

行政に強い権限が与えられることになり、政府としては、人権を必要以上に制約することがないよう適切に運用するとしています。