大学生の就職活動が本格化 新型ウイルスで不安広がる中

大学生の就職活動が本格化 新型ウイルスで不安広がる中
来年春に卒業する大学生の就職活動は、1日から企業による学生への説明会が始まり、本格化します。ただ、ことしは新型コロナウイルスの感染拡大で、大規模な合同企業説明会が相次いで中止され、学生の間に不安が広がる中でのスタートとなります。
今の大学3年生、つまり来年春に卒業する学生の就職活動は、政府が決めたルールで企業による学生への説明会が3月からとなっています。

これに合わせて1日から企業の説明会が始まりますが、ことしは、新型コロナウイルスの感染拡大で、就職情報大手の「リクルートキャリア」や「マイナビ」などが合同企業説明会の中止を相次いで決めました。

学生にとって今の時期は、説明会などを通じて志望先を絞り込む重要な時期です。

しかし、合同の説明会だけでなく、個別の企業の説明会や会社訪問の受け入れも取りやめて、かわりにウェブ上で説明会などを行う企業も増えています。このため、学生の間からは企業の担当者と直接接触できる機会が減り、不安だという声も出ています。

さらにことしは東京オリンピック・パラリンピックまでに、実質的な採用活動を終わらせたいという企業も増えているため、これまで以上にスケジュールが不透明になっており、学生にとっては、先の読みにくい就職活動が続くことになりそうです。

政府が決めたスケジュールと実際の採用活動にずれ

今の大学3年生の就職活動のスケジュールは、企業による学生への説明会の開始が3月1日以降、採用面接の開始が6月1日以降、正式な内定日が10月1日以降となっています。経団連による「採用選考に関する指針」に変わって、政府が決めたスケジュールに沿って行われます。

ただ、このルールに罰則はなく、多くの企業がインターンシップやセミナーなどの形で、3月より前に学生との接触を始めているのが実態です。

就職情報会社「ディスコ」が企業の採用活動の状況を調べるため、ことし1月下旬から2月初めにかけて、全国の企業、1300社余りから回答をえたインターネットによる調査では、3月より前に説明会やセミナーを行うと答えた企業は合わせて36%で、去年の実績を7.8ポイント上回りました。

また、採用面接を始める時期を尋ねたところ、「3月中旬」を予定している企業が17%と最も多くなっています。

去年の同じ時期の調査では「3月下旬」が最も多く、開始のピークが10日ほど早まる形となっています。

このように、政府が決めたスケジュールと早期化が進む実際の採用活動との間にはずれがあるのが実情です。

さらにことしは東京オリンピックとパラリンピックより前に、採用活動を終わらせたいと考える企業も増えています。

こうした中で新型コロナウイルスの感染拡大で、3月からの企業説明会が相次いで中止や延期となり、学生にとっては先の読みにくい就職活動が続くことになりそうです。

専門家「こまめに情報チェックを」

就職情報会社「ディスコ」で、企業の採用活動や学生の意識などについて調査している武井房子上席研究員は「企業にとっては説明会が中止になると、その後のスケジュールが全部狂ってきてしまう。説明会の時期が遅くなれば、改めてスケジュールの見直しが必要で、今多くの企業で、大慌てで検討しているところだと思う」と話し、新型コロナウイルスの感染拡大で就職活動のスケジュールが一段と不透明になっていると指摘しました。

そのうえで「企業は、説明会などの延期や再開を決めたり、スケジュールを変更したりするのであれば、できるだけ早めに情報を開示してもらいたい」と述べ、就職活動に臨む学生の不安を和らげるためにも、企業は、できるだけ早く説明会の予定などの情報を学生に伝えることが大切だと訴えています。

さらに学生に対しては、「予定していた説明会が中止になってしまい、どうしたらいいのか分からないという不安があると思うが、企業の情報をこまめにチェックしてほしい。企業の採用意欲は基本的には高いので、落ち着いて就職活動に臨んでもらいたい」とアドバイスしています。