首相 臨時休校要請に理解求める 感染終息に向け協力呼びかけ

首相 臨時休校要請に理解求める 感染終息に向け協力呼びかけ
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、安倍総理大臣は、29日記者会見し、全国の小中学校などの臨時休校を要請したことに理解を求めた上で保護者への支援に取り組む考えを示しました。そして、「率直に言って、政府の力だけでこの戦いに勝利することはできない」と述べ、感染の終息に向けて国民一人ひとりの協力を呼びかけました。
安倍総理大臣は、29日午後6時すぎから、総理大臣官邸で記者会見を行いました。

冒頭、安倍総理大臣は、現状では、感染拡大のスピードを抑制することは可能だとする専門家の見解を紹介した上で、「専門家の意見を踏まえれば、いまから2週間程度、国内の感染拡大を防止するためあらゆる手を尽くすべきだと判断した」と述べました。

そして、集団による感染をいかに防ぐかが極めて重要だと指摘し、全国的なスポーツ・文化イベントの中止や延期、規模縮小などを重ねて要請したほか、スポーツジムやビュッフェスタイルの会食など、不特定多数が接触するおそれが高い場所や形態での活動を当面控えるとともに、事業者に対し、感染防止のための十分な措置を求めました。

また、全国の小中学校や高校などの臨時休校を要請したことについて「学年をともに過ごした友だちとの思い出をつくる、この時期に学校を休みとする措置を講じるのは、断腸の思いだ」と述べるとともに「何よりも、子どもたちの健康・安全を第一に、感染リスクに備えなければならない」と述べ今回の対応に理解を求めました。

その上で、保護者の負担軽減に向けて、学童保育は、春休みと同様、午前中から開所するなどの各自治体の取り組みを全力で支援するとともに、新しい助成金制度を創設することで、正規・非正規を問わず、休職に伴う所得の減少にもしっかりとした手当てを行うなどの支援に取り組む考えを示し、「私が決断した以上、私の責任において、さまざまな課題に万全の対応をとる決意だ」と述べました。

そして、安倍総理大臣は、感染拡大の防止に向け、今年度予算の予備費2700億円あまりを活用し、第2弾となる緊急対応策を今後10日程度のうちに取りまとめる方針を明らかにしました。

また、外国人旅行者の減少や工場の製造ラインの維持など、中小・小規模事業者が直面する課題を把握し、雇用調整助成金を活用し、先月にさかのぼって支援するなど地域経済に与える影響に対策を講じるとともに、世界経済の動向を注視しながら、必要かつ十分な経済財政政策を行う考えを示し、「テレワークなどIT技術を活用しながら、未来を先取りした事業を一気に進めていく」と述べました。

盤石な検査・医療体制の構築に向けて、安倍総理大臣は、必要なウイルス検査が各地域で確実に実施できるよう国が仲介するとともに、検査に公的保険を適用し、来月中に新たな簡易検査機器の利用を目指すことを明らかにしました。

また、緊急時には、5000床を超える指定医療機関の病床を確保するほか、治療方法の確立に向けて、インフルエンザ治療薬の「アビガン」など3種類の薬の臨床研究を始めていると強調しました。

さらに、「一定の地域における急激な感染拡大などが見られた場合にどのような措置を取るか、その具体化は、もはや『待ったなし』だ」と述べ、感染拡大を抑制し、国民生活への影響を最小とするための立法措置を早急に進めていく考えを示しました。

そして、安倍総理大臣は、「今回のウイルスは、いまだ未知の部分がたくさんあり、よく見えない、よく分からない敵との戦いは、容易なものではない。

率直に言って、政府の力だけで、この戦いに勝利することはできない」と述べました。

その上で、「最終的な『終息』に向けては、医療機関、各家庭、企業、自治体をはじめとした国民の理解と協力が欠かせない。終息への道のりは予断を許さない。険しく、厳しい戦いが続いていくことも覚悟しなければならない。国民には、本当に大変な苦労をおかけするが、改めて一人ひとりの協力を、深く深くお願いする」と述べました。

東京オリンピック・パラリンピック

ことしの東京オリンピック・パラリンピックについて、「引き続き大会開催に向けて、IOCや組織委員会、東京都との間で緊密に連携をとりながら、アスリートや観客にとって安心できる大会となるよう万全の準備を整えていく」と述べました。

習主席の日本訪問

4月に予定されている中国の習近平国家主席の国賓としての日本訪問について、「現時点では予定に変更ないものの、中国の国家主席の訪日は10年に1度のことであり、十分な成果をあげることができるものとする必要があるとの観点から、引き続き日中間で緊密に意思疎通していく考えだ」と述べました。