東京パラ “ウイルスによるリスク高い選手も出場 対策検討を”

東京パラ “ウイルスによるリスク高い選手も出場 対策検討を”
東京パラリンピックに向けて、医学的なアドバイスを行う委員会の委員長を務める陶山哲夫医師がNHKのインタビューに応じ、パラリンピックには新型コロナウイルスで重症化しやすい呼吸器の機能の弱い選手が出場するとして、このまま感染拡大が続いた場合、大会本番では無観客などの対策を検討する必要があるという認識を示しました。
陶山医師は、パラリンピックの競技団体が所属する日本障がい者スポーツ協会の医学委員会の委員長を務め、JPC=日本パラリンピック委員会に対して医学的なアドバイスを行っています。

NHKのインタビューで陶山医師は、パラリンピックの選手は障害によってはオリンピック選手に比べて新型コロナウイルスによるリスクが高いと指摘しました。

特に頚髄損傷や脳性まひなどの障害がある選手は呼吸器の機能が弱く、いったん感染すると肺からウイルスが排出されにくいため重症化する傾向があり最悪の場合、命に関わるといいます。

競技では特にボッチャや車いすラグビーにこうした障害がある選手が多く、ほかの競技でも腕から足にかけての広い範囲にまひがある選手は呼吸器の機能が弱いことが多いため、注意が必要だと話しました。

また、パラリンピックの選手の平均年齢は35歳程度とオリンピック選手と比べて高いため、生活習慣病を抱えている選手の割合も増え、免疫機能が低下していると感染しやすく、ウイルスによる重症化も起きやすいと指摘しました。

さらに海外の選手は医療チームが同行する国は少なく、来日前に重症化につながる持病や感染の確認が十分ではないおそれがあるとして注意を促しました。

そのうえで、ことし8月の開幕まで感染拡大が続いていた場合、大会本番では運営の人員を最小限にしたうえで、体温測定による入場制限や観客を入れないなどの対策を検討する必要があるという認識を示しました。

陶山医師は「今後の流行の度合いよるので想像できないところもあるが、日本は全力をあげて抑え込む必要がある。経験したことがないリスクを抱えた大会になるが、厳重な管理を行えば開催できるし、日本にはその能力がある。安全に開催できれば東京大会の遺産=レガシーになる」と話しました。