NYダウ平均株価 今週だけで3500ドル余の記録的値下がり

NYダウ平均株価 今週だけで3500ドル余の記録的値下がり
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28日のニューヨーク株式市場は、新型コロナウイルスの感染拡大への懸念から、引き続き売り注文が先行し、ダウ平均株価は、前日に比べて350ドルを超える大幅な値下がりでした。これでダウ平均株価は、今週だけで3500ドル余り、率にして12%を超える記録的な値下がりとなりました。
28日のニューヨーク株式市場ダウ平均株価の終値は、前の日に比べて357ドル28セント安い、2万5409ドル36セントでした。

値下がりはこれで7日連続で、新型コロナウイルスが世界経済に与える影響を懸念した連鎖的な株安は歯止めがかからないまま、今週の取り引きを終えました。

この日のダウ平均株価の値下がり幅は、一時、1085ドルに達しましたが、FRBのパウエル議長が追加利下げの可能性を示唆する声明を発表したこともあって、取り引き終了にかけて急速に下落幅を縮めました。

一方、外国為替市場では、円を買う動きが強まり、円相場は、1ドル=107円台半ばまで円高ドル安が進みました。

市場関係者は「思い切った利下げを期待する声がある一方で、新型コロナウイルスの影響がどこまで及ぶのか、投資家は依然、見定められないでいる」と話しています。

世界的な株安の連鎖を主導する形にもなったダウ平均株価は、今週だけでおよそ3580ドル、率にして12.3%という記録的な値下がりとなりました。

週間下落率は “リーマンショック” 以来

28日の取り引きを終え、ダウ平均株価の今週の値下がり率は、12.3%と大幅なものになりました。

これは、いわゆるリーマンショックで世界金融危機が起きた2008年10月に記録した18.1%以来の下落率になります。

今から12年前の2008年9月15日に、大手投資銀行「リーマンブラザーズ」が経営破たんしたあと、世界的な金融危機となり、日米とも株価が連日大幅に下落しました。

そして10月6日からの1週間で、ダウ平均株価はマイナス18.1%という下落率を記録しました。

今週の12.3%は、それ以来で、アメリカメディアは「金融危機以来の株価下落だ」などと伝えています。

この1週間の世界連鎖株安

新型コロナウイルスの世界経済への影響を懸念し、今週、世界で連鎖した株安は、24日のヨーロッパ市場に端を発しました。

きっかけとなったのは、中国やアジア地域から突然、飛び火したかのようなイタリアでの感染拡大の発覚でした。

これを受けて、24日のヨーロッパの株式市場が急落。

そのままニューヨーク市場につながり、ダウ平均株価は24日、1031ドルの大幅下落を記録しました。

その後、25日の東京市場と株安は続き、世界的に連鎖していきます。

そして、アメリカの投資家心理を転換させた節目と指摘されるのが、アメリカのCDC=疾病対策センターが25日に開いた記者会見で、アメリカでも、いずれ新型コロナウイルスの継続的な感染が起きることになるという見通しが示されたことでした。

アメリカ国内で感染拡大が起きれば、これまで経済を支えてきた消費に深刻な影響を与えるのは避けられないとして、一気に売り圧力が強まります。

また世界で感染の拡大が次々と明らかになる一方で、投資家から見れば「安心情報」はほとんどなく、株式市場から資金を引きあげる動きが続きました。

引きあげた資金は、安全とされる債券市場に流れ込み、アメリカの長期金利は過去最低まで下落、金の価格は上昇します。

また、円高も進みました。

株価は27日には過去最大となる1190ドル余りの下落を記録するなど、結局、ダウ平均株価の1週間での値下がりは、3580ドル、値下がり率は12%を超えました。

市場では、いわゆる「ろうばい売り」や「売りが売りを呼ぶ」ような場面も多かったほか、値動きによって自動的に売買するコンピューターによる取り引きが株価下落を加速させたという面もありますが、市場関係者の間では『コロナ・パニック』といったことばも聞かれました。