欧州の株式市場 全面安の展開 新型ウイルスへの警戒感強まる

欧州の株式市場 全面安の展開 新型ウイルスへの警戒感強まる
27日のヨーロッパの株式市場は新型コロナウイルスへの警戒感から全面安の展開となり、株価はロンドンやパリ市場で下落幅が3%を超えるなど、急激に値下がりしました。
27日のヨーロッパの株式市場では新型コロナウイルスの経済への影響に対する警戒感が強まり、取り引き開始直後から幅広い銘柄に売り注文が膨らんで全面安の展開となりました。

その後株価は一段と下落し、多くの市場で一時、下げ幅は4%を超えました。

最後には買い戻しの動きが出たものの結局、主な市場の株価指数は前日の終値と比べてロンドン市場でおよそ3.5%、パリ市場でおよそ3.3%、ドイツのフランクフルト市場でおよそ3.2%、イタリアのミラノ市場でおよそ2.7%、それぞれ値下がりしました。

市場関係者は「感染がどこまで広がるのか見えず、企業の業績に与える影響への懸念が強まっている。さらに東京オリンピック・パラリンピックが実施できるか疑問視する声が出る中、日本政府が全国すべての小中学校や高校などに臨時休校を要請したことも投資家の心理を冷やしている」と話しています。

欧州の企業業績への影響に警戒感

株価の下落が続く背景には、新型コロナウイルスの感染拡大がヨーロッパの企業の業績に大きな打撃となるのではないかと投資家が警戒感を強めていることがあります。

このところヨーロッパでは幅広い業種の企業が新型コロナウイルスの経営への影響を明らかにしています。「エールフランス」と「KLMオランダ航空」のグループは中国を結ぶ便の運航停止などによって乗客が減っていることで、2月から4月までの売り上げが最大2億ユーロ、およそ240億円減少すると見込んでいます。

また「ソフィテル」や「メルキュール」などのホテルチェーンを展開するフランスの「アコー」は、旅行客の減少などでことしに入ってからの売り上げがすでに500万ユーロ、およそ6億円減ったとしています。

影響は航空会社やホテルにとどまりません。「ギネス」や「ジョニー・ウォーカー」といったアルコール飲料のブランドを展開するイギリスの「ディアジオ」は、中国で飲食店が営業を取りやめたり、日本でイベントが延期されたりしている影響で、今期の売り上げで最大で3億2500万ポンド、日本円でおよそ460億円の減収要因になる見込みだと発表しました。

また、ファンション業界ではイギリスの「バーバリー」が中国本土にある64の店舗のうち24で一時、営業を取りやめただけでなく、ロンドンなどヨーロッパの店舗についても中国人旅行客の減少で売り上げに影響が出る見通しであることを明らかにしています。