サンフランシスコ市が非常事態宣言 米各地で医薬品不足懸念も

サンフランシスコ市が非常事態宣言 米各地で医薬品不足懸念も
アメリカ西海岸サンフランシスコ市は、新型コロナウイルスへの感染を防ぐため非常事態宣言を出して、市民や旅行者に注意を呼びかけています。
サンフランシスコ市のブリード市長は25日、感染が各国に急速に広がっていることや、サンフランシスコ市と中国との人の往来が頻繁である状況を踏まえて、感染への備えを強める必要があるとして非常事態宣言を出しました。

サンフランシスコ市ではこれまでのところ感染が確認されておらず、サンフランシスコ湾周辺地域では感染のリスクは低いとしていますが、市民や旅行者に対して、感染を防ぐために手洗いを励行し、せきをするときは腕で覆うことや日頃から新型コロナウイルスに関する情報を収集するよう呼びかけています。

アメリカ各地でも警戒が高まる

各国で新型コロナウイルスの継続的な感染が起きていることを受けて、アメリカ各地でも警戒が高まっています。

ロサンゼルス市の近郊カリフォルニア州オレンジ郡も同様の非常事態宣言を出したほか、ニューヨーク市ではデブラシオ市長らが会見して、不測の事態に備える資金として日本円で44億円を支出する用意があると表明するなど、全米各地で新型コロナウイルスの感染拡大への警戒が高まっています。

医薬品などの供給不安の指摘も

一方で、感染の拡大に備えるための医薬品などの供給に不安があるという指摘もあがっています。

アメリカFDA=食品医薬品局の幹部は、中国で生産されている医薬品や医療機器の供給が途絶えることで、アメリカ国内での供給態勢にも影響が出る懸念があると述べました。

FDAは現在は、供給態勢に問題はないとしたうえで、今後、供給の不足が起きた場合に備えてアメリカ国内の製薬会社や医療機器メーカーと緊密に連絡を取り合っていくとしています。

また医療従事者が感染を防ぐために使う「N95」という規格のマスクの供給について、アザー厚生長官は25日、上院の公聴会で現在3000万個の備蓄があるものの、感染の拡大が起きた場合、その10倍の数が必要になるという見通しを示し、安定した供給のため、国内で生産できる態勢を整える必要があると訴えました。