帰国者の診療を担当した医師「軽症の場合 冷静に対処を」

帰国者の診療を担当した医師「軽症の場合 冷静に対処を」
中国 湖北省武漢から帰国し、新型コロナウイルスで症状がないもののウイルス検査で陽性となった患者の診療を担当した千葉県鴨川市の病院の医師が、NHKの取材に応じ、軽症の場合には特別な治療が必要ないため冷静に対処し、今後、重症化した患者が検査や治療をスムーズに受けられる体制を確保することが重要だと述べました。
中国 湖北省武漢からチャーター機第1便で帰国した人のうち170人余りは千葉県勝浦市のホテルにおよそ2週間滞在し、このうち3人は当初、症状がなかったもののウイルス検査で陽性だとされ、鴨川市の亀田総合病院に入院しました。

亀田総合病院の医師の細川直登 感染症科部長は、3人の治療を担当し、今後の参考にしてほしいとNHKの取材に応じました。

細川医師が治療にあたった3人のうち1人については、症状が最後まで出ず2人は発熱などはあったものの肺炎をおこすには至らなかったことから「治療には直接効果のある薬はないため体調を整えてもらえるよう経過を観察していた」と話しました。

そのうえで「感染しても8割の人は肺炎に至らず、軽いかぜの症状で終わるとされている」としたうえで現在、病院にも感染を心配する人から問い合わせが相次いでいることを受けて、「安心を求めるためだけに検査を行うのは効率的ではなく、まずは知識を深め冷静に対処してほしい。症状が軽い場合自宅で療養してもらうとともに重症患者が検査や治療を受けられる体制を確保しておくことが重要だ」と指摘しました。

また国が今後、感染を拡大させないためこの1、2週間が瀬戸際だとの見解を示したことについては「自覚症状がなくても人にうつす恐れもあるので不特定多数の人が集まる状況を避けて、感染の機会を減らすことに協力していく必要がある」と話していました。

細川医師「感染症の正しい知識を」

細川医師は、勝浦市のホテルでの対応について「帰国者の方どうしやホテルの従業員らと接触しないように、食事はドアの前に置き、体温計はそれぞれに渡して使い回しをしないなど、人と人が接触しないようにして予防することを目標とした」と振り返りました。

ホテルには病院から急きょ、消毒液や手袋、マスクなどを持ち込んで対応にあたったということです。

また地元の人たちから感染への不安の声が寄せられたことについては、説明会で科学的な見地から説明した結果、納得が得られたとして「不安を解消してもらうには、まず多くの人に感染症の正しい知識を持ってもらうことが大切だ」と話していました。