NY市場 円相場 10か月ぶりに1ドル112円台の円安水準で推移

NY市場 円相場 10か月ぶりに1ドル112円台の円安水準で推移
20日のニューヨーク外国為替市場は、ロンドン市場の流れを引き継ぎ、10か月ぶりとなる1ドル=112円台の円安水準で推移しました。2日間で2円以上の急速な円安の動きとなっていて、市場関係者は、新型コロナウイルスの感染拡大で日本経済に与える影響への懸念が背景にあると見ています。
20日のニューヨーク外国為替市場は、ロンドン市場で去年4月以来、10か月ぶりの円安水準の1ドル=112円台をつけた流れを引き継いで、おおむね112円台で推移しました。

円安の背景にあるのが、新型コロナウイルスの感染拡大で、日本経済に深刻な影響が出るのではないかという懸念です。

さらに、去年12月までの3か月間のGDP、国内総生産の落ち込みが予想以上に悪く、今週に入って発表されたアメリカの経済指標が軒並み好調だったことから、日米経済の明暗が際立ったとしてドルを買って円を売る動きが強まりました。

市場関係者は「何かあった時には『安全資産』とも言われた円が買われてきたが、こうした認識が大きく転換した可能性もある。当面、円安の動きが続くのではないか」と話しています。
急速に円安が進んでいることについて、三井住友銀行ニューヨーク為替グループ長の下村剛さんは、向こう1か月で1ドル=115円程度まで円安が進む可能性を指摘したうえで現時点での円安は、消費の弱い日本経済にとってマイナスの面も無視できないという認識を示しています。

この中で、急速な円安の進行について、下村氏は、「日本のGDP、国内総生産の落ち込みが顕著なうえ、新型コロナウイルスの感染拡大で、先行きの不透明感が強まった。一方、これと対照的なアメリカ経済の好調さが意識され、ドル高円安に転換した」と述べました。

これまで外国為替市場では、先行き不透明な事態が起きた場合「安全資産」として円が買われる傾向でしたが、下村氏は、こうした認識は転換した可能性があるとしています。

また「向こう1か月間で見ると、1ドル=115円くらいまで円安が進む余地は十分あると考えている」と話していました。

さらに、円安が日本経済に及ぼす効果や影響について、下村氏は、「メリットばかりではないと思う。日本の輸出企業にとっては円安は利益につながるが、その度合いは低下している。一方で、円安による輸入物価の上昇は消費にとってはマイナスであり個人消費が弱くなっていると指摘されている中での円安は思わぬ下押しリスクを及ぼす可能性がある」と指摘しました。