クルーズ船 客室待機後も感染広がったか 国立感染症研究所

クルーズ船 客室待機後も感染広がったか 国立感染症研究所
新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船について、国立感染症研究所は船内で検疫が行われ、客室での待機が始まったあとも、感染が一部の乗客や乗員で広がったとみられると、研究所のウェブサイトで報告しました。
国立感染症研究所がウェブサイトに掲載した報告によりますと、今月18日の段階でクルーズ船内で感染が確認されたのは乗客と乗員、合わせて531人で、▼276人に発熱などの症状が出た一方、▼255人は症状がなかったとしています。

この中で、発症した日の記録があるのは184人で、このうちの23人は乗客の客室での待機が終日で始まった今月6日以降、感染が確認された乗客がいる部屋にいたとしています。

特に今月13日以降について見ると、発症したうち13人は乗員だったほか、5人は感染した人が同室にいた乗客だったとしています。

研究所は、船内で実質的に感染が広がったのは、客室での待機が始まる前だったとする科学的な根拠があるとしていますが、その後、検疫期間の終了日に近づくにつれ、感染のほとんどは乗員や客室内の乗客どうしで起きたとみられるとしており、乗員は業務を続けなければならず、すべての人を隔離することは困難だったとしています。

汚染防護服の医師 クリーン区域入ることも

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の中で、活動した医師が電話取材に応じました。

この男性医師は、災害派遣医療チーム「DMAT」の一員として、クルーズ船内に派遣され、船内のレストランに設けられた対策本部で、医療業務に従事したといいます。

当時の対策本部の状況について男性医師は「本部はいわゆるクリーンと言われているはずの所でしたが、すでに汚染された防護服を着た医師が、誤って入ってしまうこともあった」と証言しました。

そのうえで、男性医師は「主に救急医で構成されるDMATは、派遣要請があれば出動するが、初めての感染症が相手で、感染症専門医も数少ない中、もっと統一したオペレーションが必要だったと感じた。見直さなければいけない点もあったと思う」と振り返りました。