中国 上海 日系企業の多く 本格的な業務再開に至らず

中国 上海 日系企業の多く 本格的な業務再開に至らず
新型コロナウイルスの感染拡大によって、上海の日系企業にも影響が広がっています。
「上海日本商工クラブ」は企業が活動を再開した今月10日から12日にかけて、上海に拠点を置く日系企業を対象にアンケートを行い、合わせて635社から回答がありました。

このうち新型コロナウイルスに対する従業員の安全確保について、複数回答で聞いたところ、9割近くの企業が「在宅勤務」を行っているほか、半数近くの企業が「上海以外の地域から戻った従業員を対象に、14日間の自宅待機」をさせていると回答し、多くの企業が本格的な業務再開には至っていない実態が明らかになりました。

また、半数を超える企業がすでにサプライチェーンに影響が出ているとしたうえで、中国国内の工場などの操業停止が続いた場合、3割を超える企業が、これまでどおりの生産や調達ができなくなると答えました。

そして、ことしの収益については、およそ半数の企業が10%を超える減益を見込んでいて、20%を超える減益を見込んでいる企業も2割近くに上り、多くの企業が深刻な影響が出るという見通しを示しました。

受注は3~5倍 従業員は3分の1

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中国ではアルコール消毒液の需要が急増していますが、上海にある日系企業の工場では帰省した従業員が戻れない影響などで、稼働率が上がらない状況が続いています。

中国国内向けにアルコール消毒液を製造している上海市郊外の日系企業は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、受注が通常の3倍から5倍に増え、先月から従業員が休みを返上して、工場で生産を続けています。

ただ、旧正月「春節」の連休でふるさとに帰った従業員が、当局の規制によって上海に戻れず、臨時に雇ったものの通常の3分の1ほどしか集まっていないということです。

また、容器やラベルの納品が遅れている影響などもあり、5つある生産ラインのうち1つしか稼働できていません。

消毒液を製造している「サラヤ上海」の稲津貴文社長は「工場の稼働率は30%から40%ぐらいだと思う。2月末から3月上旬には何とか通常どおりの稼働に戻るのではないか」と話していました。

上海のほかの日系企業でも、従業員が在宅勤務を余儀なくされるなど、本格的な業務を再開できていないところが多くなっています。