新型ウイルス 感染経路不明の患者出た場合の医療態勢確保を

新型ウイルス 感染経路不明の患者出た場合の医療態勢確保を
新型コロナウイルスについて、感染経路が追跡できない人が出てきた場合、国内ですでに一定の感染者がいる可能性があります。専門家は、感染経路が追跡できない患者が出た場合は水際対策よりも重症の患者への医療態勢をしっかりと確保する対策が重要だと指摘しています。
国内では、これまで検疫や感染地域からの入国制限のほか、チャーター機で中国 武漢から帰国した人の経過観察など、国内で感染を広げないための水際対策が中心となっていました。

感染経路が追跡できない感染者が出た場合について、WHOで感染症対策を指揮してきた東北大学の押谷仁教授は「国内ではすでに相当数の感染者がいて、今後、見つかる患者の数が増えるおそれがある」として、今後は水際対策よりも重症の患者を集中的に治療できる医療態勢の整備を迅速に進めることが重要だと指摘しました。

具体的には、各地の医療機関で集中的な治療が行えるベッドの数や重症者が出た場合に必要となる人工呼吸器の数などを確認することが必要だとしました。

一方で今回の新型コロナウイルスは症状が軽い人が多いとされていて、軽症の人が医療機関に集中すると、病院の機能がまひして、重症者への治療に影響が出るおそれがあるとして、軽い症状の場合は原則として自宅で療養する必要があるとしました。

また高齢者や持病のある人が重症化のリスクが高いとされていることから、感染の機会を減らす工夫として、高齢者施設の面会を制限することや、持病のある人が病院に出入りするのを減らすため、1度に長期間分の薬をあらかじめ処方することなどの対策も重要だとしています。

また不安になる人も多く出るとみられるため、電話相談などができる窓口を充実させることや、この病気に対する情報を国が適切に提供していくことも必要になるとしています。
感染症対策に詳しい東京医科大学の濱田篤郎教授は「現段階でもどこで感染したのか、解明することは大事だが、国内でほかにも追跡できない患者が出る可能性はあり、医療体制を早急に整える必要がある」と話しています。