新型肺炎 日本企業にも影響 不安視する声も

新型肺炎 日本企業にも影響 不安視する声も
新型のコロナウイルスの感染拡大で、日本企業の間にも、影響を不安視する声が上がっています。

日本郵船「輸出入 短期的影響は不可避」

海運大手の日本郵船は、新型のコロナウイルスの感染拡大で中国国内の工場で操業再開が延期されていることなどから、輸出入の荷動きに短期的な影響は避けられないという見方を示しました。

日本郵船の山本昌平常務経営委員は31日の決算会見で、現時点では顕著な影響はみられないと述べたうえで「中国の取引先の事業所が春節の休みを延ばしたり、現地の工場や製鉄所などの稼働が遅れたりするという情報が寄せられている。これに伴って、日本への製品の輸入や中国への原材料の輸出など、短期的な荷動きについては影響が避けられない」と述べました。

そのうえで「感染の拡大を受けて取引先の企業がサプライチェーンを見直すといった影響が出る可能性もあり、今後の動きを注意深く見ていきたい」と述べました。

JFEスチール「鉄鋼生産 影響間違いない」

JFEスチールの社長を務める日本鉄鋼連盟の北野嘉久会長は31日の記者会見で、国内の鉄鋼生産への影響について「春節期間中なので実績としては現れてはいないが、中国の製造業の生産停滞が長引けば、日本の鉄鋼の生産に少なからず影響が出てくるのは間違いない」と述べました。

そのうえでJFEスチールとしての今後の対応については「武漢市がある湖北省への出張禁止に加え、中国全土に対しては不要不急の出張は控えるよう指示を出しているが、今後の動向次第では、この指示を拡大する可能性がある」と述べました。

三菱自動車工業「代替生産含め検討」

中国の地方政府が企業に対し、春節にあわせた連休を延長するよう求めていることから、三菱自動車工業は、中国の湖南省長沙と福建省福州にある自動車の生産工場の再開時期について、当初の2月3日から2月10日まで延期する方針を明らかにしました。

31日、決算の記者会見で池谷光司副社長は「中国当局の動向を見ながら万全の体制で生産が再開できるように努めたい」と述べました。

そのうえで「中国の部品メーカーが製造した部品を日本の工場で使っている車種もある。ひとつひとつ丁寧に調査しながら代替生産も含めて検討したい」と述べ、部品の調達先の変更などを通じて、日本で行っている自動車の生産への影響を最小限に抑えたいという考えを示しました。

西村経済再生相「影響を十分注視」

西村経済再生担当大臣は閣議のあとの記者会見で「インバウンド消費の下押しが懸念される。また中国政府は春節の休暇を来月2日まで延長する措置を講じていることなどから、中国国内の生産、消費活動や現地の日系企業の活動、さらにわが国の輸出や生産、企業収益に与える影響を十分注視していきたい」と述べました。

また「今回の事態を受け株価の下落が生じていることもあり、金融資本市場の動向もしっかり注視したい。こうしたリスクに対応するためにも、成立した補正予算の早期執行が重要だ」と述べました。